家庭経済の耳寄り情報

2016年05月10日

老後に必要な金額はどのくらい?

 定年退職後の老後の生活のために、いくらくらいの貯蓄が必要か計算しておくことは、ライフプランを考える上で、たいへん重要なことです。
老後に必要な自己資金の見積りは、意外と簡単な方法で計算できますので、ご自分で行なってみてはいかがでしょうか。

まず第一に検討するのは、定年退職後の生活のために必要な金額を計算してみることです。

 (式①) 定年時に必要な貯金額 
  = 定年後に必要な総費用(A) - 夫婦の年金受給総額(B) - 退職金 - 定年後の収入(C)

 この式の結果(定年時に必要な貯金額)がマイナスであれば、貯蓄は不要となります。しかし、実際には、
 多額の貯蓄が必要なことが分かることも多々あります。

(A)定年後の総費用

  高年齢者雇用安定法によって60歳以上でも働くことが容易になりましたが、まずは60歳以降は
  給与収入がないものとして計算を行ってみたいと思います。

  男性の60歳時点での平均余命は22年、女性の平均余命は28年とされています。ここでは、妻が
  3歳年下の場合、それぞれの平均余命までの期間に必要な総費用を計算することにします。

  ある調査結果では、定年後、最低必要な生活費は月24万円程度、ゆとりのもてる生活費は月37万円程度
  とされています。また、ご家族が一人になった場合の生活費は、二人の時の70%程度という簡略計算も
  よく使われます。ここでは、夫婦での生活費を月30万円、どちらかお一人になってからの生活費を、
  21万円として計算を行ってみたいと思います。

  ご自分で計算される際には、現在の生活費の概算から老後の生活費を予測して、数値を置き換えて検討
  してみていただければと思います。

  妻が3歳年下の場合;

  30万円x12ヶ月x22年=7,920万円(夫婦の総生活費)
  21万円x12ヶ月x 9年=2,268万円(妻一人になってからの総生活費)
  10,188万円が定年後必要な総費用ということになります。

(B)年金の受給総額

  ご自分の年金受給額は、年金定期便などから推定することができます。ここでは、以下の金額を年金
  受給額として計算します。

  夫の年金額を220万円(老齢厚生年金+老齢基礎年金)とします。
  妻は老齢基礎年金だけとして年金合計が80万円とします。
  夫 :220万円x(82-65歳)=3,740万円
  妻 : 80万円x(88-65歳)=1,840万円
  総計:5,580万円 が年金受給総額となります。

  以上に加え、退職金が2,500万円、退職後の収入は特にないとすると、式①の計算より、
  10,188万円 - 5,580万円 - 2,500万円=2,108万円

  この計算では、約2,100万円が不足するため、退職金の他に2,100万円の貯蓄が必要という結果と
  なりました。不足が見積もられた場合は、老後の生活費を減らす、退職年齢を遅らせる、妻も働く、など
  などについての検討が必要になります。
 
精度を高めた検討を行うためには、キャッシュフロー表を使った計算が必要になります。
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ協同組合でも、キャッシュフロー表の作成を行っていますでので、
お気軽にお声掛けください。

川上 壮太 2016年05月10日