家庭経済の耳寄り情報

2016年06月10日

今後の大規模自然災害のために覚えておくこと ~住宅ローン~

 本年4月、熊本県を中心に大きな地震災害が起きました。被災者の皆様に心よりのお見舞い申し上げます。
建物が崩壊している様子をテレビで見るたびに、家のローン等はどうなるのだろうと心配をしています。

 被災者の早期復興を支援するため、住宅金融支援機構は災害復興住宅融資の受付をおこなっています。
金利は全期間固定型0.39%(2016年5月26日現在)で、融資限度額は建設・購入・補修の種別で違いがあります。この災害復興住宅融資を利用するには、地方公共団体が発行した「り災証明書」を提出する必要があります。

これとは別に、都市銀行や地元銀行でも被災者向けローンを開始しています。

 また、被災された方の中には、収入が途絶えたりして住宅ローン等の返済が困難になった場合、まず借りている金融機関に支払い猶予や返済条件の変更を相談して、返済が今後継続できるか検討される方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、支払い猶予や返済条件の変更が困難な場合、既に借入している住宅ローン等を整理(免除)する手続きを取る方法を考えることになるかもしれません。

 この場合には、自己破産などの法的整理と、民事調停などの私的整理があります。個人でも民事調停を利用しやすくするために特定調停法があります。
特定調停法に基づく債務整理を行いやすくするため、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を全国銀行協会が中心になって作成され、自然災害の被災者が住宅ローン等の債務整理を迅速に行えるようにするため、2016年4月からスタートしました。
熊本地震の被災者の方にも適用されます。

一般社団法人全国銀行協会「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」

 今回のガイドラインでは、被災者の方全員が債務を免除されるわけではなく、破産手続きにおける「支払不能」またはおそれのある場合に限られます。
十分な資力のある被災者の方には適用されません。
また、自己破産などとは違い信用情報機関に登録されることがないので、新たなローンを組むことができます。
さらに、手続き支援を行う弁護士などの費用を国が全額助成(特定調停などの費用を除く)します。
この制度では、まず住宅ローン等を借りている金融機関に手続き開始を申し出て、同意が得られた後、弁護士会等などを通じて手続きを進めることになります。
まずは、住宅ローン等を借りている金融機関の相談窓口に行かれるのが良いと思います。

住宅ローン等に関することで思い立ったことを記載してみました。
地方により、まだ他に種々の制度がある場合もありますので、詳しくは地方公共団体、金融機関等の各々の窓口へお問合せください。

氏家 勉 2016年06月10日