家庭経済の耳寄り情報

[更新日]: 2017年11月30日

熟年離婚で老後生活は大丈夫ですか?

近年雑誌、テレビ等のマスコミで熟年離婚が取り上げられています。長年にわたり一緒に過ごした夫婦が離婚するのですから他人には分からない様々な事情があり、他からとやかく言うべきでない事と思いますが、今回は熟年離婚後の老後生活についてお金の面について、専業主婦の立場から考えてみます。

離婚に関係するお金の問題として、慰謝料、財産分与、年金があります。

まず、慰謝料ですが結婚相手の不適切な行為(DV、浮気等)による精神的苦痛に対して請求するものです。従って、離婚の際に必ず発生するとは限りません。又金額も高額ではないようです。

次に財産分与ですが、これは婚姻期間中に取得した夫婦共有の財産(共有財産)を、離婚に際し精算することです。 離婚の理由は問わず、共有財産の半分が目安になります。
一般的にサラリーマンの場合は、夫が多額の金融資産でも持っていな限りそれほど多くのお金は期待できません。

最後に年金ですが、離婚の際、夫が貰える年金を分割する要求ができる制度があります。年金分割(保険料納付記録の分割)には、分割する時に夫婦間の合意手続きが必要な「合意分割」と必要が無い「3号分割」(H20.4.1以降)があります。 以下の「4つのポイント」を踏まえて年金分割が行われます。

①分割対象は厚生年金(会社員)と旧共済年金(H27.9.30までの公務員退職者)だけです。
  分割の割合は最大50%までです。従って夫が自営業の場合には年金分割の対象となる年金はありません。

②結婚期間の部分だけです。
  結婚期間中に対応する分だけであり、結婚前と離婚後の期間は含まれません。(28歳で結婚し60歳で離婚し
  たら32年間分が対象となります。)

③妻が受給年齢にならないと年金がもらえません。
  分割した年金は離婚したらすぐ受給できるわけでなく、妻の受給年齢(原則65歳)になる時に妻の年金に上
  乗せされる形で支払われます。

④分割の請求は離婚から2年以内です。
  離婚した日から年金事務所での手続きが必要です。
  ちなみに、妻の方が年金額(厚生年金)が多い場合は夫の請求により妻の方の年金が分割される場合もあり
  ます。

安藤 昭 2017年11月30日



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年金分割イメージ図(厚生労働省ホームページより)

例えば、年金分割による受給できる金額は結婚期間32年でその間の厚生年金が月額10万円(平均年収約700万円の場合)だとすると半分の5万円が妻の分となり、妻自身の老齢基礎年金6.5万円と合わせても12万円足らずです。
一方一般に高齢単身無職世帯の生活費は約16万円/月(注1)であり年金収入だけで生活していくのは困難です。 仮に離婚しないとすると、上記ケースの場合夫婦合わせての年金は約26万円/月、高齢夫婦無職世帯の生活費は約27万円/月(注1)で何とか生活できそうです。
熟年離婚を考える前に老後の生活の事を考え離婚しない方法を夫婦で考えるのも一つの考え方だと思います。
ちなみに、離婚した場合は当然の事ですが、夫が亡くなっても遺族年金を受領する事はできません。よく考えて行動に移りましょう。

(注1)総務省「家計調査年報(家計収支編)」平成28年家計の概況より


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