相続を考える

家庭経済の耳より情報

2016年12月30日

不動産相続についての考え方

 2年ほど前に相続税が改訂されて以降、遺産分割をどのようにしたら良いか?というご相談が増えています。
私は行政書士も兼務していますので、手続の仕方については生前のご相談なら遺言書(極力、公正証書)の作成をお勧めし、死後については、相続人全員の署名実印での遺産分割協議書作成・・・等ご案内いたしますが、ご相談者には大きく分けて二通りあります。

① 高齢の母親がお子様たちに押し付けられての相談
② 高齢の母親はおざなりで、お子様たち(特にその配偶者が絡むと厄介)からの相談

となりますが、①のケースでは先ず基本的な手続の仕方を一からご案内で終ります。

最近増えているのは②のケースで母親の意向は全く無視され、お子様方でどの様に相続するのが最も税金上お得か?というご相談です。

基本的な考え方として居住用不動産について、一旦配偶者が全て相続すれば小規模宅地の評価減や配偶者控除の活用で非課税となるが、その後母親死亡後にお子様方が相続することを考えたら税金上どうなるか?
要するにどの様に相続するのが最も得か!に終始します。

母親のその後をどう考えるのか。と言う問題もありますが、相続した後の売却のことまで気にされてのご相談です。

1人暮らしになった母親が老人ホームに入ったらどうなるのか?その時売却したのでは遅いんじゃないか・・・「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を聞きかじって混同されたりしていることが多く見受けられます。

相続財産についての特例は、相続税申告期限から3年以内に相続財産を売却すると相続税の一部を取得費に入れることができるという「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が該当します。
この特例を受けることによって相続税が取得費に加算されることになりますので、結果的には課税譲渡所得金額が減額し譲渡所得税が軽減、つまり節税につながることとなります。
ただし、もともと相続税がかからないのであれば、前述した「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が良いでしょうし、先を見据えてご家族でよく話し合い、不動産会社や税理士などの専門家にしっかり相談して進める必要があります。

神奈川県FP協同組合では窓口となり一般的なご相談から各専門家へのご紹介含め全般的に対応いたしておりますのでお気軽にご相談ください。

山口 貴之 2016年12月30日