相続を考える

家庭経済の耳より情報

2017年02月10日

2017年度税制改正~資産税(相続税・贈与税等)の主な改正点

 昨年12月8日、政府与党から2017年度の税制改正大綱が発表されました。今回の目玉は配偶者控除の見直しと言われていますが、ここでは相続税・贈与税等の資産税で改正となる主要な4点を紹介します。

①広大地評価の見直し
 3大都市圏で500㎡以上・その他地域では1000㎡以上の広い土地について広大地評価という特別な評価方法が認められ、路線価による評価額よりかなり低くなります。しかし的確条件が不明確、且つ減額割合を決める要素が土地の広さのみで、土地の形状や環境・性質は加味されず、不公正性が問題視されていました。この問題を解決しようとする~適用要件を明確化する改正です。但し具体的な内容は明らかではなく、政省令が俟たれます。適用時期は2018年1月1日以降に発生する相続からとされています。

②取引相場のない株式評価の見直し
 非上場会社の株式評価方法の1つである類似業種比準価格の計算方法の見直しです。配当金額・利益金額・純資産価額の3要素を均等に見ることになります。現状は利益金額の比重を3倍にしていますが、これを他の2要素と均等にするというものです。利益の大きな非上場企業の株価評価額が下がることになります。
適用時期は2017年1月1日以降に発生する相続からとされています。

③タワーマンションに課税される固定資産税・都市計画税・不動産取得税の見直し
 マンションの各戸室の固定資産税等は床面積比となっており、現状は1階も40階も差がありません。実際の取引価格には差があるのに不公平という問題の解決を図ろうとするものです。高さが60mを超えるマンション(概ね20階建て以上)が対象で、真ん中の階の固定資産税を現状の固定資産税額とし1階毎に10/39を±するように改正されます。40階建てのマンションの最上階では真ん中の階に対して20階×10/39≒5%の差がつきます。1階と40階では約10%の差になります。
この改正は2018年度から新たに課税されるタワーマンションに適用されますが、2017年4月1日以前に売買契約が締結された住戸を含むマンションは除かれます。

④相続税又は贈与税の納税義務者の見直し
 現状では国外に5年超住所を有している者(例:親)が、同様に国外に5年超住所を有している者(例:子)に国外にある財産を贈与する場合、贈与税は課税されません。この5年超の居住条件が10年超に改正されます。親子ともども10年超外国に住んでいないと適用されないこととなり、贈与税を免れるケースが限られることになります。
相続税も同様です。この改正は2017年4月1日以降に発生する相続・贈与等に適用されます。

仁科 眞雄 2017年02月10日