家庭経済の耳寄り情報

[更新日]: 2017年08月10日

相続と贈与とどちらが得か

 相続と贈与とどちらが得でしょうか?
一般的に言えば、相続の方が基礎控除等が大きいので、相続の方が得と思われています。
しかし、賢く贈与を利用すれば贈与の方が節税をすることができます。


●例えば相続人が妻と子供2人で、3億円の相続財産を法定相続分通りに分割した場合の計算例

【贈与なしの場合】
基礎控除が 3,000万円+600万円×3人=4,800万円なので
課税遺産総額は 30,000万円-4,800万円=25,200万円

相続人各人の法定相続分に応ずるの取得金額は
妻  25,200万円×1/2=12,600万円
子供1人当り  25,200万円×1/4=6,300万円

妻の相続税 12,600万円×0.4-1,700万円=3,340万円  (1)
子供1人当りの相続税 6,300万円×0.3-700万円=1,190万円 (2)
相続税総額は (1)+(2)×2人=5,720万円

これを各人の相続分で分割しますが、今回は法定相続通りで分割するので
妻の納税額 5,720万円×1/2=2,860万円
子供1人当りの納税額 5,720万円×1/4=1,430万円
配偶者の税額軽減により妻の相続税はゼロになるので、納付税額は2人の子供の相続税合計2,860万円になります。

【2人の子供にそれぞれ110万円を10年間贈与した場合】
贈与税はゼロです。
課税遺産総額は 30,000万円-4,800万円-2,200万円=23,000万円

相続人各人の法定相続分に応ずるの取得金額は
妻  23,000万円×1/2=11,500万円
子供1人当り  23,000万円×1/4=5,750万円

妻の相続税 11,500万円×0.4-1,700万円=2,900万円  (3)
子供1人当りの相続税 5,750万円×0.3-700万円=1,025万円 (4)
相続税総額は (3)+(4)×2人=4,950万円

これを法定相続通りで分割すると
妻の納税額 4,950万円×1/2=2,475万円
子供1人当りの納税額 4,950万円×1/4=1,237.5万円
配偶者の税額軽減を考慮すると、納付税額は2人の子供の相続税合計2,475万円になります。

したがって2,860万円-2,475万円=385万円が贈与による相続税の節税分となります。

このように暦年課税贈与をコツコツと続けていくことが、節税効果が大きいことがわかります。
ただし、相続開始3年前の贈与分は相続財産に加算されますので、贈与効果がありません。


●現行税制で行われている生前贈与は次のとおりです。

1.暦年課税贈与
年間110万円の基礎控除(110万円まで非課税)
なお、2015年1月以降の贈与で「20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母、養父母など)から受けた場合の贈与税の税率が緩和されています。これを特例贈与といいます。」
注意:毎年贈与契約書を作成すること。子供への贈与の場合、通帳や印鑑を渡し、親の管理から離すことが肝要です。

2.相続時精算課税制度
2,500万円まで非課税。超えた分は20%の贈与税。ただし、この制度を利用すると同じ贈与者からの暦年課税贈与は受けられません。

3.住宅取得資金贈与
平成29年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、最大1,500万円まで非課税。
贈与者の相続開始時に、相続税の課税価格に加算しなくてよい。種々の要件があります。

4.教育資金の一括贈与
父母や祖父母からの教育資金の一括贈与を受けた場合、最大1,500万円まで非課税。
平成25年4月1日から平成31年3月31日まで。種々要件があります。

5.結婚・子育ての一括贈与
父母や祖父母から結婚・子育て資金として一括贈与を受けた場合、最大1,000万円まで非課税。
平成27年4月1日から平成31年3月31日まで。種々要件があります。

佐伯 好也 2017年08月10日



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