家庭経済の耳寄り情報

[更新日]: 2017年08月20日

住宅ローンの金利は今後どうなるのでしょうか

 住宅ローン金利の決定に大きく影響する長期金利、短期金利について知り、最近の住宅ローン金利の動向から、固定金利と変動金利のどちらで借りるのが良いのかを考えてみましょう。

1.銀行はどのように住宅ローンの金利を決定しているのでしょう。
(1)全期間または一定期間同じ金利が続く固定型住宅ローンの適用金利は長期金利を参考にし、半年ごと見直す変動型住宅ローンは短期金利を目安とし、各金融機関が金利を決めています。
その決定に大きな影響を及ぼすのが、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」です。
今、日銀の誘導水準は、長期金利がゼロ%程度、短期金利はマイナス0.1%となっています。
日銀が想定する長期金利の「ゼロ%程度」の範囲は、「マイナス0.1%からプラス0.1%」とみる投資家が多くいます。プラス0.1%に近づけば、「日銀が金利引き下げに動く」との思惑から金利低下につながりやすくなっています。

(2)長期金利は、企業、家計、金融機関、政府などが、期間1年以上の資金の貸し借りをした場合に適用される金利です。
一般に、景気がよく物価が上昇局面では長期金利は上昇し、景気が悪く物価が下落する局面では低下します。そのため、長期金利の動きは「経済の体温計」と呼ばれています。
理論的に長期金利は、将来の経済成長率見通し、将来の物価動向見通し、国債の需給悪化など将来の懸念材料の3要素を反映して決まるとされています。
日銀は2016年9月に「物価上昇率2%」の政策目標が達成できなかった理由を総括的に検証し、新たに長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する政策を導入しました。

(3)短期金利は、企業、家計、金融機関、政府などが、期間1年未満の貸し借りをした場合に適用される金利です。短期金融市場の資金量が増えれば短期金利は低下し、資金量が減れば上昇する傾向があります。このため主要国の中央銀行は、公開市場操作で短期金融市場への資金量を調整し、短期金利を政策的に誘導しています。
日本では、銀行間の資金融通を行うコール市場において、無担保コール翌日物金利が、日銀によって誘導目標金利(政策金利)とされてきました。しかし同金利がデフレ下ではほぼ0%から変動しないため、金利引き下げによる金融緩和に限界がありました。
2013年4月、日銀は政策目標を資金供給量の指標であるマネタリーベース(※脚注参照)とする量的緩和策に切り替えました。
※マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

2.最新の金利の動向
(1)最近の物価情勢は?
7月の日銀の「経済・物価情勢の展望」でも物価情勢は上向きとしています。
日銀は2017年から2018年にかけて、国内需要は、超緩和的な金融環境や政府の大型経済政策による財政支出などで増加基調をたどると考えています。
将来の物価についても、消費者物価の前年比2%へ向けて上昇率を高めていくと考えています。

(2)固定型のローン金利は既に上がり始めている。
長期金利は将来の経済情勢や国際情勢によって先行して動きます。
日銀の物価情勢が予測どおり推移すれば、 日銀も長期金利の利上げから手をつけるとの見方もあり、固定金利が変動金利より先に上がっても不思議はないのです。

(3)住宅ローン金利の直近の情勢
金融市場についてみると、2017年7月の債券市場は、欧米市場の金利動向に影響を受け、0.06%~0.10%の幅で上下しました。欧米の金利上昇の見通しなどから、国内金利が上昇し、10年国債も0.1%あたりまでになりました。日銀が金利上昇をけん制したため、その動きは止まりました。それでも先月の金利水準からはわずかに上昇しています。
このような動きを受けてかは明らかではないですが、住宅ローンの金利を下げる金融機関はほとんどなく、金利を少しだけ上げる金融機関が増えました。

3.住宅ローン金利はどうなるのでしょうか。
(1)人々の物価観が「物価が上昇する」という強気化する状況が生まれなければ、今の超低金利政策が長引くこともありえます。もし、そうなるなら、借入期間が長くない人などは、低水準が続いている変動金利で住宅ローンを借り続けるのが有利になることもあり得ます。

(2)金利水準が低い変動型で借り続けると、将来借り換える時に、固定金利が現在より上がっているかもしれません。固定金利は変動金利より高めですが、固定に借り換えて将来の金利上昇リスクに備えることも選択肢としてあり得ることも考えられます。

(3)変動型と固定型のどちらの金利が得か、今現在、確実なことは誰もわからないということでしょう。
経済・物価情勢や日銀の情報発信に注目しながら、これからの金利動向について予測していく必要があります。

参考文献:「経済・物価情勢の展望(2017年7月)」日本銀行

氏家 勉 2017年08月20日



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