家庭経済の耳寄り情報

2017年08月30日

高齢化社会を迎えた今、リスクと備えについて考える

 昨年の平均寿命は男性80.98歳 女性87.14歳(2016年厚生労働省の資料より)と過去最高を更新しています。
高齢化社会が進むと、生活の中でのリスクが増えていきます。健康を維持するために運動や、食事、サプリメントなど様々な方法はありますが、病気やケガがまったくなく、寿命を終える方は少ないでしょう。

 私の父は94歳、母は91歳で亡くなりましたが、父は93歳まで一人暮らし、最後の1年3ヶ月ぐらいは病院と介護施設でお世話になりました。
高齢になってからの10年位はヘルパーさん(個人的に依頼)に来てもらっていましたので、その費用は生活費以外にかかりました。
母は85歳になる少し前に認知症で、グループホームにお世話になり、最後の3ヶ月ぐらいは病院でした。(保険には加入せず、蓄えから老後のリスクに対応しています。)

 高齢化社会になるにつれ、社会保障の健康保険制度も年々改正されています。
今まで70歳以上の方の窓口負担は1割(一定の所得の方は3割)でしたが、平成26年から改正されました。
以下は厚生労働省「70歳から74歳の方の医療費の窓口負担についてのお知らせ」より抜粋

平成26年4月2日以降に70歳の誕生日を迎える方 (誕生日が昭和19年4月2日以降の方)
・70歳となる誕生月の翌月(各月1日が誕生日の方はその月)の診療から、窓口負担は69歳までの3割から2割になります。
 (例えば、平成26年4月2日~5月1日に70歳の誕生日を迎える方は、4月まで3割負担、5月から2割負担になります。)
・窓口負担には月ごとの負担限度額が定められていますが、70歳から2割負担となる方は、69歳までと比べて負担限度額が下がります。
・一定の所得がある方は、これまでどおり3割負担です。

上図参照 <<図はクリックすると拡大します>>

 「厚生労働科学研究 健康寿命のページ」によると健康でないと自覚している人の年齢別の割合は、女性は55~59歳頃、男性は60~64歳頃から右肩上がりで増加しています。
年齢が高くなるほど不調を感じる事が多くなり、実際に病院への通院や、治療が始まるようです。
現役の頃と違い、収入は年金と今までの蓄え、退職金などを取り崩すことになります。

 FP相談の中で多いのが、保険相談です。医療、がん保険、死亡保障などの見直し。特に今回はシニアの方の保険の見直しについてお話しします。
良くある相談の中で、『どんな保険に入っているのか分からない.』『中身については説明されたが、しっかり確認しているわけでは無いのでこれで充分なのか分からない』『妻に任せてあるので知らない』等々、
いざ病気になり入院・手術といった場合に自分の保険の中身が分からず、保険料だけは毎月銀行から引き落とされ、総額では大きな金額になります。

 シニアの方の保険相談で、私が提案していることが3つあります.
1.現状把握、現在の保険の中身の確認と分析。保障はいつまで、どんなときに給付を受けられるのか、今の医療現場の治療に見合っているか
2.保険料も含めた生活費の支出と収入のバランス。貯蓄や退職金の切り崩しはいつまで続くか
3.現役後、アクティブに生きる期間での生きがい、やりたいことの優先順位 介護も含めた、エンディングまでの期間での優先順位をつける

 その上で健康保険での保障(高額療養費も含む)の範囲で良しとするか、貯蓄の範囲内でリスクをカバーできるか、民間の保険をプラスすして補完するか?
将来の予測は難しく何が起きるかは分かりませんが、ライフプランをたてることによりキャッシュフロー表(1年間の収入と支出、貯蓄額などのお金の流れを10年20年などの長いスパンで表にした物)を作成し、将来の生活設計を数値化し、ビジュアルで見る事でリスクが明確に浮かび上がります。
安心して、充実した暮らしをするためにも専門家への相談をおすすめします。

 公益財団法人生命保険文化センター 平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年12月発行)によると
世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の公的介護保険の範囲外費用に対する経済的備えにおいて、必要と考える月々の費用の平均は16.8万円となっています。必要資金の分布をみると、「10~15万円未満」が29.1%と最も多くなっています。

 公益財団法人生命保険文化センター 平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年12月発行)によると
世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の公的介護保険の範囲外費用に対する経済的備えにおいて、必要と考える月々の費用の平均は16.8万円となっています。必要資金の分布をみると、「10~15万円未満」が29.1%と最も多くなっています。
上図参照 <<図はクリックすると拡大します>>

佐藤 房子 2017年08月30日