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家庭経済の耳より情報

2013年03月30日

ライフプランニングと住宅ローン

 ライフプランニングを行う際に最も考慮しなければならい資金は、お子様の教育資金、住宅資金(住宅ローン)、老後資金の3つです。今回はこの内の住宅ローンについて考えてみたいと思います。
ライフプランニングは可能な限りリスク(変動)の少ないファクターで行い確かな将来生活設計を立てるべきです。では、住宅ローン借入のリスクについてはどうでしょう。

 既にご存知だとは思いますが住宅ローンの返済額は以下の4項目で決まってきます。
・借入金額
・返済期間
・返済方法
・借入利率
この内、借入金額、返済期間、返済方法は借入時に決まってしまいますので、皆様の収入が大きく変わらない限り当初立てた返済計画は影響を受けません、借入利率(変動金利で借りた場合)については返済期間中に何度も変動(下がる場合も上がる場合もある)する可能性があります。この事により住宅ローンを持った方々の返済計画に多かれ少なかれ影響を与える事になり、利率が大きく上がった場合ローン借入前に立てた生活設計に影響を与える事になります。借入金額や返済期間にもよりますが、最悪のケースでは自宅を手放さなければならいこともあるかもしれません。

 最近の経済情勢からみますと、2年後にインフレ目標+2%の目標を設定した安倍政権の大胆な金融緩和策により、政権の思惑通り名目3%以上の経済成長を達成すると短期金利(変動金利はこれに連動する。)も大きく上がることも考えられます。

例えば変動金利0.8%返済期間35年で3,000万円の住宅ローンを借りた方が、3年目に金利が3%になれば、毎月返済額約82,000円のうち、当初は利息の返済額が2万円程だったのが、3年後(金利:0.8%→3.0%)には返済額はかわりませんが、返済額の内利息の占める額は7万円以上となり3倍以上になってしまいます。即ち、返済額のほとんどが利息に回ってしまい、元金を中々減らすことが出来ない状況に陥ります。

住宅ローンで変動金利を利用した場合返済額の見直しは5年毎に1回のため5年間返済額は変わりませんが、金利の見直しは半年毎に行われるため前記の現象が起きてしまいます。又、5年後に返済額を見直しても、以前の返済額の1.25倍以内に抑えるというルールがあるため前記の例では毎月の返済額は当初の返済額(82,000円)の1.25倍の102,500円に増加しますが、依然として利息の支払額が元金の支払い額を上回ります。

金利が下がらなければ次の5年目は更に返済額が増える事になり、返済計画が破綻することも考えられます。以上は極端な例を取り上げましたが、現在、変動金利は固定金利よりもかなり金利が低く利用しやすいという利点があり一般によく利用されています。比較的短期で借入金額も多くない(リスクの回避が容易)場合は変動金利の利用も良いかもしれません。ご存じの事と思いますが、一般に住宅ローンを借りる場合の大原則は、低金利の場合は固定金利、高金利の場合は変動金利を選択すべきと言われています。現在の史上最低レベルの住宅ローン金利の状況を鑑みますと、やはり今は固定金利を選択すべきと言えるでしょう。

 私の考えでは、当たり前のことですが「住宅ローンを借りる」ということは投資ではありません、良く投資は余裕資金で行うべきと言われていますが住宅ローンは生活資金の一部です。金利の上下により一喜一憂すべきものではありません。リスクの少ないファクターを選びしっかりしたライフプランを立てるべきだと考えます。

 変動金利を選択するにしても、固定金利を選択するにしても、決定される前に信頼のおけるファイナンシャルプランナーにご相談の上将来のリスクを十分に見極め堅実なライフプラン(将来設計)を立てたうえで決定される事をお勧めいたします。

安藤 昭  2013年03月30日