家を持つ

家庭経済の耳より情報

2018年03月30日

深刻化する放置空き家問題

 日本は家あまりの時代です。
5年ごとに作成される統計で最新の2013年資料によると、日本全体では820万戸の空き家(7戸に1戸の空き家)があり、2033年には空家数が2,150万戸(3戸に1戸)になると言われています。

空き家は
 ① 販売中
 ② 入居者待ちの賃貸用
 ③ 時々使う別荘用
 ④ 「放置空き家」
の4つに分類されます。

このうち④の「放置空き家」は、空き家全体の820万戸の内39%の318万戸を占めています。
①②については市場原理により空家数がコントロールされますが、④の「放置空き家」については所有者の”空き家を管理する”という動機や意思が希薄になりがちです。

「放置空き家」が発生する理由は
 (A) 自分がすでに所有している自宅以外の家を親から相続した場合
 (B) 高齢者が介護などの理由で、施設などに入所または子供と同居するために自宅から退去した場合が多く
いずれも少子高齢化と深く関係があり、今後「放置空き家」はますます増加すると推定されます。

このような空き家の場合、子供が老朽化した親の家に将来住む動機が弱く、賃貸に回すには多額のリフォーム費用が発生する場合が多い。
また、売却しようにも価格が期待外れでそのままになってしまう場合もあります。
さらに税制の影響(お金をかけて更地にするよりも、ボロ家でも建っている方が固定資産税が6分の1で済む)もあり、対応が先送りされがちです。

 空き家の立地条件(駅からの距離、買い物)、空き家自体の魅力(広さ、間取り、造り)により、「そのまま売却」、「更地にして売却」、「賃貸」などと個別に対応策をとる必要があります。
移住住み替え支援機構の賃料返済型のリバースモゲージという魅力的な方法があります。自宅を売却することなく賃貸に回し、賃料を担保に所有者は有料老人ホームや高齢者向け住宅に住み替えする費用をまとめて一時金で受け取れます。
ただし、この方法は定期借家契約(3年)であり所有者保護の面が強く、借りる立場の人が敬遠しがちの面もあります。

 国にとっても、個人にとっても、空き家という利用されない莫大な資産を利用することが経済・家計の活性化につながるものです。
空き家所有者が忙しい日常生活の合間に金額の大きい大事な決断をするには公平で信頼できる相談が出来るところが必要です。

個人の家計相談をうけるFPは、空き家を有効活用し、資産化する提案ができる立場にいます。
所有者のライフプランを踏まえて、行政の担当課、建築士、リフォーム業者、不動産業者、税理士、司法書士、ケアマネージャーなどのコーディネーター役を務められるよう、FPの力量のレベルアップが図られていますので、今後のFPにご期待ください。

鈴木 榮三郎 2018年03月30日