相続を考える

家庭経済の耳より情報

2012年02月05日

相続税の増税はどうなった?

 平成24年度の税制改正に向けた大綱が昨年の12月10日に発表されました。
昨年の改正案の目玉と言われ継続的に審議されていた相続税の増税について気になるところでしたが、果たしてどうなったでしょうか?

まず、相続税の基礎控除の引下げ(現行の5000万円+1000万円×法定相続人を3000万円+600万円×法定相続人に)と税率の引上げ(現行の最高税率50%から55%)については今回も見送られることになりました。

そのほかにも死亡保険金の非課税措置(法定相続人の範囲縮減)や未成年者控除及び障害者控除の引上げも見送られました。更に贈与税についても、子や孫などが受贈者となる場合の贈与税の税率構造の緩和、相続時精算課税制度の対象となる受贈者への孫の追加についてもそれぞれ見送られております。

結局、H24年度は、若年世代への対応やデフレ脱却策としての住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を拡充・延長するなど、小改正に止まったようです。

これらの改正事項について、マスコミは「増税メニューの本丸とも言える消費増税論議に早く駒を進めたいとの思惑から理念なき場当たり的な税制改正となった(朝日新聞)」と批評しています。

しかし、今回の税制改正大綱の中には「本改正事項については、税制抜本改革における実現を目指します」と明記されてあります。即ち、あくまで先送りであり話が立ち消えたわけではないので注意しなければなりません。とりあえずH24年度では行われないということですが、これもあくまで大綱であって決定ではないので今後も注視が必要です。

とにかく国は、相続税を納める人が4%程度に低下している現状から、納税者のすそ野を広げようとの意図があり、近い将来、増税に向けての本改正は免れないでしょう。
“備えあれば憂いなし”です。情報を先取りし、より早めの相続税対策が求められます。

関連リンク: H24年度税制改正大綱

長谷川 良行 2012年02月01日