相続を考える

家庭経済の耳より情報

2012年07月10日

相続対策は他人事ではありません

 60代の方からのご相談では「うちは相続なんて関係ないから…」といった意見をよく耳にします。相続というのは一部のお金持ちの人達だけの問題であると思い込んでいらっしゃる方が多いのです。しかし一般の家庭でも、家族が亡くなればそれに伴い相続問題が少なからず発生します。


 相続の種別で最も多いのは不動産で、中でも宅地がその4割を占めています。(出典:国税庁「国税庁統計年報(平成16年)」をもとにセールス手帖社保険FPS研究所作成)
一方、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割のトラブル件数は平成17年度では1万1、999件で、昭和24年頃と比較すると11倍に膨れ上がっています。(出典:最高裁判所「司法統計年報(家事事件編)」)遺産の分割が難しいとされる不動産が、遺産の大半を占めているので、実際のところは遺産分割における争いも年々多くなっているのです。


 人生には必ず最期がやって来ます。故人が何も意思を残さぬままお亡くなりになった場合、遺された家族には迷いが生じますし、余計な争いを生むことも少なくありません。そのようなことを回避する為にも自分の歩んだ道をどのように継承するか、その人それぞれの想いをまとめ、遺言やエンディングノートに残されることを先ずはお勧め致します。


 相続人が複数の場合、相続対象である自宅を複数で分けることは容易でなく、そのまま自宅として使用する場合は誰か特定の人となりますし、売却するにしてもそのタイミング等々で揉め事になりそうではありませんか?いずれにしても不動産を分割することは難しい問題です。その解決方法として、不動産を相続する人は一人に絞り、その他の人は保険を使って生前から少しずつ財産を贈与されるのも賢い方法です。

山口 晶子  2012年07月10日