相続を考える

家庭経済の耳より情報

2013年03月10日

生命保険を利用した相続対策

 平成23年に相続税・贈与税改正案が決まってから、政治の空転で約3年が経過しました。やっと平成27年1月1日から上記改正が施行されることになりました。相続税改正の主な点は、基礎控除縮減(現行額の60%)と最高税率アップ(50%から55%へ)であり、久ぶりの増税となります。
今回は上記背景を踏まえて、生命保険を利用した相続対策を取り上げてみます。

 相続財産としては、主に不動産と金融資産があります。金融資産のうち現預金は相続発生時の残高で評価され、課税されます。生命保険契約形態として税金別に以下3つの方法があります。

契約者   被保険者  受取人   税金の種類
夫     夫     妻     相続税
父親    母親    子供    贈与税
子供(35歳) 父親(60歳) 子供(35歳) 所得税

この中で今回注目したいのは、3番目の税金が所得税の場合です。

(契約する保険内容)
終身保険  保障額1200万円 保険料累計1028万円 支払期間10年

父親名義の1028万円の現預金を毎年102.8万円ずつ子供に10年間にわたり贈与します。子供は贈与された資金で終身保険の保険料を支払います。毎年の102.8万円は暦年贈与税の非課税枠110万円の範囲内ですので、税金がかかりません。ただし親子間で贈与契約書を作成しておく必要があります。
 さて、このケースで父親が10年経過後なくなった場合の保険の課税は一時所得扱いで次のとおりとなります。

(1200万円-1028万円-50万円)÷2=61万円
61万円×5%=3.05万円
手取り額:1200万円-3.05万円=1196.95万円

仮に、同じ保障1200万円として、相続税の場合、生命保険の非課税枠500万円(相続人1名)を考慮したとして税率は10%となりますので、保険金だけの比較では、所得税のほうが税金面で有利です。

 メリットとしては1028万円を生前贈与できること、相続税納税資金の準備になることから、所得税を使った保険契約は相続に関して有効な対策と思われます。

佐藤 博信 2013年03月10日