相続を考える

家庭経済の耳より情報

2014年12月10日

名義預金はおすすめ?

 相続税改正税法適用までカウントダウンとなってきました。
新相続税法は、平成27年1月1日以降に相続が開始された場合から適用となります。
このような時節柄、ちまたでは相続関連セミナーが人気を博しているようです。
私も相続関連のセミナーを何度も聞いたことがありますが、資産税専門の税理士である本郷尚さんのセミナーで聞いたことが実務面で役立ちそうだと思ったのでここでご紹介したいと思います。
それは、「名義預金の活用」で、ご本人の著書「こころの相続」にも出てきます。

 その内容とは、ご主人がまだきちんと意思能力のある時期に、ご主人と相談して生前にご主人の定期預金を奥さんの名義にしておくことです。
贈与ではなく、あくまでも名義預金です。

一般的には名義預金はいけないものといわれてますが、次のことを厳守すれば大丈夫のようです。

1.相続時には、奥様の名義でもご主人の相続財産として申告する。
2.名義預金の出納帳をつける。(ご主人のための使途であること)

 なぜ、この名義預金が使い勝手がいいかというと、これをしていなかった場合、たとえば、ご主人が認知症になったため、介護費用にあてるため、ご主人名義の預金を引き出しに行ったら、銀行員の方から『家庭裁判所で「成年後見人」に選任してもらってください』と言われ、預金を引き出すことができなかった、などということがあります。
しかしながら、成年後見人を立てると家裁との手続きなど結構面倒なことになります。

 ところが、名義預金となっていれば、銀行側からすれば名義は奥様のものですから奥様が自由に出し入れできることになります。ご主人が介護施設に入ろうという場合の高額の出費も自由にできる訳です。
ただし、年金の受け取り口座のような普通預金口座は変更せずそのままにしておきます。
こちらは、キャッシュカードで出し入れが可能です。

名義預金にしておくことで、実際にご主人が亡くなった相続後の、面倒な預金名義変更の手続きも不要となります。

ちなみに、専業主婦のへそくりも名義預金です。相続時には相続財産に加えられます。時効はありません。

磯野 正美  2014年12月10日