相続を考える

家庭経済の耳より情報

2015年08月30日

エンデイングノートを書いてみよう

 エンデイングノート(以下「ノート」という)は遺言書と比較すると法的効力はないのですが、何故ノートが必要と言われているかと申しますと、遺言書が法的な権利のみに対し、ノートは家族への想いを伝えていくもので、心の遺言書だからです。実際ノートをお持ちの方は沢山いらっしゃいます、数冊お持ちの方もいます。しかしながら持ってはいるが書いてないという方がほとんどです。書いている方は全体の2%です。それでは何の役にもたちませんし勿体ない話ではありませんか。
Q&Aで考えてみましょう。

Q1 本屋に行くと色々なノートがあってどれにしようか迷ってしまいます。良いノートがあったら教えてください?
A1 どのノートも目次の順番、言い方が違うだけで内容は大差ありません。ご自分の好みでお選びください。

Q2 途中まで書いたのですが断念しています。どうしたらまた続きを書ける気になるでしょうか?
A2 貴方は最初から最後までキッチリ書かないとダメだと思っているしっかり屋さんですね。ノートは最初からすべて記入する必要はありません。書きたいところ、書けるところから書き始めましょう。

Q3 お勧めの書き方教えて下さい?
A3 貴方の今一番心配ごとはなんですか?例えば自分がもしもの時、家族の一員であるペットがどうなるか心配でしょうがない、という方は誰にペットの面倒を見てもらいたいのか、ノートに書くとともに今からお願いしておく必要がありますね。

Q4 遺言書で兄弟姉妹への遺産が同額でないので、後で揉めないかと心配ですが良い方法はありますか?
A4 どういう理由でそういう分け方をしたか、親の気持ちをノートに書いておくことによって、無用な争いごと、兄弟姉妹間のわだかまりをなくすことができます。

Q5 自分の終末期医療について、ノートに書いておけば希望の通りできるのですか?
A5 胃ろうはしないでと書いておけば、医者が胃ろうを勧めたとき、本人がノートに望まないと書いているのでと家族も断りやすい。家族も個人の意思を尊重したことなので心の痛みは薄らぐのでは。

Q6 葬儀は身内だけでやって欲しいけど?
A6 家族に伝えておいてもノートに書いていないと、周囲から色々言われて盛大な葬式になってしまうこともあります。ノートに書いてあれば本人の希望だから、といえるが口頭で言われただけだと、説得力が弱く周囲に押し切られることもあります。

Q7 ノートに家系図がありますが、書く必要あるのですか?
A7 貴方の祖父母のお名前覚えていますか?この機会に家族の絆を考えて見てください。家系図で貴方の相続人が誰なのかも大体分かりますよね。実際相続の時は戸籍謄本で確認はします。

Q8 預貯金や株式等を書かなければいけませんか?
A8 預貯金等はどこの金融機関、支店名、種類は書いてください。暗証番号はいりません。ノートを見た誰かに悪用される恐れがあります。これがあると遺言書に相続財産を書くときの下書きとしては大変役にたちます。

Q9 家族への想いは書いておいた方が良いのですか?
A9 もちろんです。配偶者、子供たちへの愛情、思い出、今の気持ちを素直に書いてください。いくら大事に思っていても死んでしまってからでは伝えられません。ノートに書いておくとそれだけで争族が減ります。

まず実行してほしいことは

1.完璧を目指さず、気楽に取り組む
2.一番気になっていることから書く
3.残された人が困りそうなことから書く

上記の3つをまず実行されることをお勧めします。
遺言書と一緒にエンディングノートを書くことによって、心配事を未然に防ぎ気持ちもスッキリ安心して暮らしましょう。

青木 信三  2015年08月30日