相続を考える

家庭経済の耳より情報

2015年11月30日

相続の前に準備しておくこと(遺産相続でもめることの無いように心がけること)

 相続税の改正により、相続税を払う対象者が増えました。
残った貯蓄もそんなに多くないし、自分は該当しないだろうと考えているあなた、『ちょっと待って下さい、、、!』

相続財産とは預貯金、株券や証券などの有価証券、不動産、借地権、貸付金などの財産および借金などのマイナス財産を言います。

披相続人(亡くなった人)の死亡時の所有財産がどれぐらいあるかによって、相続税の対象になるか否かが決まります。

まず被相続人がどれだけ財産を所有していたか、きちんと亡くなる前に明記し、遺言書を書いてあれば早めに確認することが出来ますが、中々そういう訳にはいかない場合が多いので、まずは確認作業に時間がかかります。

地方で一人暮らしをしていた私の父が2年前に亡くなりました。父は遺言書を書いていませんでしたが、常々自分が亡くなったらこのノートと、鞄を見るようにと私たち兄弟に言っていました。
ノートには、亡くなったときに誰に連絡するのか、自分の以前勤めていた仕事関係の連絡先がすべて記入してありスムースに事が運びました。
高齢で亡くなった場合、親の仕事関係や、連絡先など一緒に住んでいない場合は分からないことが多く、随分助かりました。

鞄の中には通帳と、印鑑、預貯金関係のものがまとめられていて、自分の財産が明記してありました。
ただ、年齢の高い人にありがちな、現金の束がタンスや、押し入れの中に下着などにくるんでおいてあったことにはビックリしました。

現金が出てきたことで、葬儀費用はこれで間に合いましたので慌てずにすみました。
無事に葬儀が済み、その後相続の作業でしたが、ノートには実家の家は長男の名義にして欲しい事が書いてありましたので、我が家はもめずにすみました。

兄弟関係で仲が良くなかったり、法定相続人の連れ合いが口出しをしたら、すんなりいかないかもしれませんね。
これももめる一つの原因ですので、きちんとした遺言書は必要です。
遺言書では、披相続人の思いは重要ですが、この分け方に差別や不公平があると、兄弟間でもめて、最後は調停で裁判という事にもなりますので、これはキーポイントです。

すべての財産を明記していても気をつけるのは、借金や、保証人等のマイナスの財産です。
亡くなったことが分かった後、3ヶ月以内なら相続放棄というマイナスの財産が多かった場合の選択方法がありますが、葬儀の後など時間はあっという間に過ぎますので、これもキーポイントです。

すべての相続財産が確立したところで、相続税の対象となるかどうか、非課税枠内に収まるかどうかの確認作業です。
平成27年1月からは相続税の非課税枠が改正されました。
3000万円+600万円×法定相続人の数となっています。
例えば、残された妻と2人の子供が法定相続人の場合、4800万円以上の相続財産がある場合は相続税の対象となります。

預貯金は少なくても、首都圏などの地価の高いところに住宅を持っている場合では相続税の対象になり得るケースは多くなっています。

非課税枠に収まる場合は相続人全員の遺産分割協議書を作成し、その中で分配をすることになります。

資産が多く、非課税枠に収まりそうも無い場合は、早めの相続対策が必要です。
(披相続人名義の住宅評価額を下げる小規模宅地の特例、保険を活用した死亡保険金でのみなし相続財産の非課税枠、教育資金の一括贈与、住宅取得資金の贈与等)

現在、多くの信託銀行、保険会社、不動産会社など相続ビジネスに重きを置き、色々な形で、顧客獲得をしています。
中には利益主義に走っている場合もあると聞きます。

正しい知識と、中立な情報、自分にとって本当に頼りになるファイナンシャル・プランナー等の専門家を探し、後で失敗したと思わないためにも事前の基礎知識を身につけてほしいと思います。
お金のからむ相談は、信頼性、知識、見識なども重要ですが、相性も大事です。どんなことでも最後まで答えてくれる相談者を見つけて下さい。

佐藤 房子  2015年11月30日