保険を見直す

家庭経済の耳より情報

2012年03月10日

老後のための安全な運用は個人年金保険がベスト?

 公的年金や企業年金に関しては、私たちを不安にさせるニュースが続いていますね。
そのせいでしょうか、このところ老後資金の対策についての個別相談は確実に増えてきています。

 老後資金の対策となると、一番に頭に浮かぶのは個人年金保険のようです。老後資金の相談でも、個人年金保険を始めたいという方は多いのです。そこで、私たちは最初に、「運用としての収益性や税金の面から考えると、人によって最善な方法は異なります。」とお客様にお伝えしています。

 老後資金の対策であれば、年金で受け取らなくても、お金を増やして老後に増えたお金を取り崩すことでもよいはずです。そう考えると、保険だけではなく様々な運用方法が考えられます。

 そうは言っても、保険のほうが気軽にできてよい、という方も多いものです。そこで、保険による老後資金の対策を考えると、個人年金保険の他に、終身保険を利用するという選択肢もあります。
終身保険は一生涯の死亡保障が確保できる保険ですが、保険料の払い込みが済んだ後、例えば60歳や65歳以降では、払い込んだ保険料の総額に比べ解約返戻金がかなり増える商品もあります。
そこで、解約して一時金として受け取ることで老後資金対策とすることができます。また、年金支払移行特約といった特約をつけることにより、年金で受け取ることが可能となる商品も多いです。

 個人年金保険と終身保険、どちらを選択するかには、2つのポイントがあります。

1つ目は同条件での返戻率を比較することです。返戻率とは払い込んだ保険料の総額に対する受け取り金額の比率で、多い方が運用として優秀ということになります。

2つ目は生命保険料控除の利用です。生命保険料控除は、所得にかかっていた所得税や住民税を減らしてくれる効果があります。
終身保険の保険料は一般の生命保険料控除の対象となりますが、他に加入している死亡保障の保険があると控除の対象となる保険料の上限を超え、有効に利用できない可能性があります。
一方、個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除として一般の生命保険料控除とは別枠で控除の対象となるメリットがあります。ただし、全ての個人年金保険が対象となるわけではなく、保険料払込期間が10年以上などの要件があります。
どちらの控除にしても、人によってメリットの有無と大小は異なり、必ずしも個人年金保険が有利になる訳ではありません。

1と2を総合的に見て、個人年金保険と終身保険、どちらにメリットがあるのかを一人ひとりの状況に基づき判断する必要があります。

ファイナンシャルプランナーに相談することで、よりよい選択ができるかもしれませんね。

平野 雅章  2012年03月10日