2022年08月25日
社会保険の106万円の壁、あなたはどうする?~2022年10月より社会保険の加入範囲が拡がります~
2022年10月から、従業員数101名以上の会社で働き、下記4点に全て該当する方は、社会保険の加入が新たに義務付けられます。(2024年10月からは従業員数51人以上の会社にお勤めの方も該当する事になります。)
①1カ月あたりの所定内賃金が88,000円以上(年収106万円以上)
②1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満
③2か月以上の雇用見込がある
④学生ではないこと
社会保険に加入すると、ご自身の社会保険料等がお給料から控除され、同時に夫の社会保険上の扶養から外れることになります。そのため、世帯収入が減ってしまう、いわゆる「働き損」の可能性を心配する方も多いかもしれません。
「働き損」にならないように収入をいくら得たらいいのか、世帯収入の損益分岐点を知るには2つの側面から考える必要があります。
ご主人が会社員、妻がパート勤務の場合で考えてみましょう。
①妻の社会保険料等、所得税、住民税がどれくらい増え、手取り収入がいくらになるのか。
*社会保険料等の控除金額が世帯収入に大きく影響します。
②夫の、手取り収入がどれくらい減るのか。
*夫の所得から差し引く配偶者控除額が減り、結果として手取り収入がどれくらい減るのか。(手取り額が変わりますが、手取り額に対する影響はあまり大きくありません。)
また、夫の会社の制度として、妻の収入が一定以下の場合は扶養手当等が支払われる場合には、手当の減額分も考慮する必要があります。
一例として、夫の年収600万円、高校生以下のお子様一人のご家庭の場合を考えてみましょう。
2022年10月以降、従業員数101名以上の会社で妻が社会保険に加入して働いた場合、年収106万円未満で働いた場合の手取り額に比べて、おおよそ130万円程度以上の年収になると、世帯収入は増加し始めます。
もっとも、実際の世帯の概算損益分岐点は、家族構成や夫婦の収入金額、社会保険料や所得控除額等によって世帯ごとに異なるため、個別に考える必要があります。
また、自営業者の妻の場合には、社会保険等に加入する事で、世帯としての社会保険料負担を減少させることができます。
一方で、妻が社会保険等に加入するメリットも多くあります。
①厚生年金に加入できるため、将来受け取れる年金を増やすことができます。(給与控除された厚生年金保険料と同額の保険料を会社が負担します。)
②健康保険の被保険者となるため、病気になった場合に傷病手当等を受給できるなど、手厚い保障が受けられます。
ご家庭と仕事のバランスを取って働きつつも、世帯収入を増やしたいと思うことはありませんか?ご厚生年金に加入し、ご自身の年金額を増やす良い機会ととらえ、社会保険上の扶養の壁を越えみてはいかがでしょうか。
働き方と世帯収入、家計の見直しなどのお悩みがございましたら、お気軽にお問合せください。キャリアコンサルタントの資格を保有するCFPが相談を承っております。
森村 利果香 2022年08月25日