家庭経済の耳寄り情報

2023年01月10日

2024年(令和6年)に施行される「新しいNISA」とは

 岸田首相が発する「資産所得倍増計画」を後押しするために、NISA(少額投資非課税制度)が改正されます。
令和5年度税制改正大綱に示された「新しいNISA」の内容を、現在わかる範囲内で説明いたします。

 ポイントは、次の4点になります。

(1)非課税保有期間が無期限化に
(2)口座開設可能期間について期限を設けず、NISA制度が恒久化に
(3)年間投資上限額を拡充する
(4)一生涯にわたる非課税限度額を設定


(1)非課税保有期間が無期限化に
 現行のNISA制度では、一般NISAが年間 120万円までの投資額について5年、つみたてNISAが年間 40万円までの投資額について 20年と、非課税で保有できる期間に制限がありましたが、この期間が無期限となります。

(2)口座開設可能期間について期限を設けず、NISA制度が恒久化に
 現行のNISA制度では投資可能期間が設定されていましたが、2024年以降は恒久化されます。

(3)年間投資上限額を拡充する
 現行の一般NISA(年間 120万円)の役割を引き継ぐ「成長投資枠」の年間投資額上限が2倍の 240万円まで拡充され、現行のつみたてNISA(年間 40万円)を引き継ぐ「つみたて投資枠」の年間投資上限額が3倍の 120万円まで拡充されます。
「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用が可能となりますので、個人の年間投資上限額は 360万円となります。

(4)一生涯にわたる非課税限度額を設定
 投資余力が大きい高所得者層に際限のない優遇とならないよう、年間投資額上限とは別に、一生涯にわたる非課税限度額が設定されます。
「つみたて投資枠」の上限が 600万円、「成長投資枠」の上限が 1,200万円となり、個人の投資上限枠の総額は 1,800万円となります。

 「新しいNISA」の詳細はこれから1年をかけて練り上げていくことになりますが、上記のポイントだけを見ても、現行のわかりにくいNISA制度にくらべて実効性のある制度となるものと思われます。

 大綱では詳しく触れられていませんが、新聞報道等では以下の点についても発表されています。

○ 途中で売却して枠に余裕ができれば、その分はまた投資できる
 現行のNISA制度では途中で売却してしまうと非課税枠は再利用できませんが、「新しいNISA」では年間に可能な投資額や積み立てのルールの下で、売却により生涯積立限度額に空きができた分を再利用することができるようになります。
売却して空いた非課税枠の管理は、売却した価格ではなく投資した価格で管理されることになるようです。

○ 現行のNISA資産は、新しい制度の外枠で継続できる
 2023年までに利用されたNISA口座の資産は、2024年に始まる「新しいNISA」の利用とは分離して運用ができることになります。
例えば、2023年につみたてNISAに 40万円に投資した場合、向こう 20年間税制優遇された運用を続けながら、2024年から「新しいNISA」での投資を並行して始めることができます。

 「新しいNISA」で作られる「成長投資枠」で投資可能とされる運用商品は、高レバレッジ投資信託などの商品は投資対象から除外するとだけ触れられていて、詳細についてはこれから1年をかけてつめていく事になると思われます。
 現行のNISAについては、わかりにくいと言うことで投資をためらっていた人にとって、「新しいNISA」はわかりやすく使い勝手も良いものになっているため、投資運用を始めるきっかけになると思います。

 「新しいNISA」は 2024年から始まりますが、それまでに投資運用を勉強しておきたいという人は、神奈川県ファイナンシャルプランナーズ協同組合にご連絡ください。相談経験の豊富なFPが対応させていただきます。

荒川 衛 2022年12月26日