2023年11月10日
高齢者が賃貸物件を借りにくい理由とその解決策
少子高齢化が進む日本。子どもが家を出たことで自宅を売却し、高齢者がお部屋探しをするケースも増えてきました。
住んでいたアパートの建て替えなどで、急に部屋探しが必要になるケースもあるでしょう。
そんな時、「高齢者だと賃貸を断られる?」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
今回は、「何故高齢者が賃貸物件を借りにくいのか、またその解決策は」について解説します。
賃貸物件を借りにくい理由
1、経済面
高齢者が賃貸物件を断られる理由として、貸主が不安を抱く最も考えられるのが「経済面」です。
65歳以上のシニア世代では、既に現役を引退して年金暮らしをしている方が多いしょう。現役世代と比べると年金暮らしは安定性に欠けるため、貸主は家賃支払いが滞るリスクを懸念します。
十分な貯金があるなど、きちんと家賃を支払える人物だと判断されれば問題ありません。
2、健康面
高齢者の入居に貸主が不安を抱く理由の2つめが「健康面」です。
若い方と比べて足腰が弱くなってくる高齢者は、段差につまずいたり階段から落ちてしまったりと、屋内での事故が危惧されます。
入居時は生活に不自由がない状態でも、1~2年経過すると健康面に変化の可能性も高くなると思われます。
万が一の際に、1人暮らしの高齢者だと発見が遅れる可能性もあります。
もし孤独死となると住んでいた部屋は「事故物件」として扱われるため、次の住人が見つかりづらくなってしまいます。
3、保証人を立てられない
貸主が不安を抱く以外にも、高齢者が入居審査時に不利になるケースがあります。
最も多いのが「保証人を立てられない」場合です。
多くの賃貸物件では、契約の際に連帯保証人を立てる必要があります。
連帯保証人とは、入居者の家賃支払いが滞った際に代わって支払い責任が発生する人のこと。
しかし、既にパートナーが亡くなっているなど、高齢者は連帯保証人が見つからない可能性があります。
保証会社を利用すれば入居可能な物件もありますが、中には親族の連帯保証人を必要とする物件もあります。
解決策
1、金銭面に問題がないことを伝える
高齢者が入居審査を通すコツとして、まず、金銭面に問題がないことを契約時にしっかりと伝えましょう。
貸主が高齢者に部屋を貸すのをためらう理由は、家賃の滞納を心配しているからです。
現役で仕事をしている方なら、定期収入がある旨をしっかりと伝えておけば入居審査に通過する確率は高くなります。
働いていない方は、金銭面に問題がないことを証明しましょう。
預金通帳のコピーなどを提出し、きちんと家賃を支払える人物だと積極的にアピールしましょう。
2、シニア向け物件を探す
貸主からすれば、転勤などが多い若い方と比べると「シニア世代は長い期間住んでもらえる可能性が高い」というメリットもあります。
そこで、中には高齢者への貸し出しに積極的な貸主も少なからず存在します。
3、高齢者のサービスを利用する
高齢者用のサービスを活用するのもポイントです。
少子高齢化が進んでいる現状もあり、日本では高齢者が1人暮らしをするうえで便利なサービスが数多く存在します。
例えば、一般財団法人高齢者住宅財団が行っている「家賃保証制度」は、60歳以上なら利用できる家賃保証サービスです。
限られた物件しか適用されないものの、通常の家賃保証会社と同じ値段で利用できます。
今回の高齢者が賃貸物件を借りにくいというケースに鑑み、連れ合いをなくして一人暮らしになる可能性は誰でもあり、避けて通れないことなので、その心積もりはもっておきたいものです。
佐藤 博信 2023年11月10日