家庭経済の耳寄り情報

2023年11月25日

最低賃金大幅引上げ! 社会保険年収の壁対策の発表について

令和5年10月1日から最低賃金が改定されました。前年度から過去最大の引き上げ幅となり、主な最低賃金は次の通りです。東京1,113円、神奈川1,112円、埼玉1,028円、千葉1,026円、愛知1,027円。

1. 対象となる賃金は、基本的な賃金で以下のものは除外されます。

・時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金
・皆勤手当、通勤手当、家族手当(*住宅手当は対象になります)
・賞与
・結婚祝金等

2. 税制上の扶養範囲と社会保険上の扶養範囲は異なります。

税制上の扶養は「98万円の壁」と「103万円の壁」です。
98万円を超えると住民税(※1)が課税されます。103万円を超えると所得税が課税されます。この金額の違いは基礎控除の金額の違いです。
給与収入1,618,999円までは給与所得控除55万円が受けられ、住民税は基礎控除が43万円のため給与収入が98万円までならば課税所得が0円となります。所得税の基礎控除は48万円のため103万円までならば課税所得が0円ということです。どちらも超えた部分に税金がかかってきます。
(※1:住民税の非課税所得基準額は自治体によって異なる場合があります。横浜市、川崎市等は45万円のため、100万円以下では住民税は課税されません)

社会保険上の扶養は「130万円の壁」と「106万円の壁」です。
130万円の壁は、社会保険上の扶養から外れるボーダーラインです。130万円を超えると自分自身で社会保険に加入しなくてはなりません。
106万円の壁は、自分の勤め先の社会保険の加入義務が発生する壁です。
勤務先の従業員が101人以上 (2024年10月以降は51人以上) の場合は、次の条件に当てはまると自分自身で社会保険に加入することになります。 
・年間所得が106万円超 
・月額賃金が88,000円以上
・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用見込み期間が2ヶ月以上
・学生ではない

3. 先日、社会保険年収の壁対策の概要が発表されました。

「106万円の壁」に対しては、社会保険の加入によって手取り額が減ってしまう従業員に対して勤務先企業が手取額を増やすように支援をした場合に企業に対して労働者1人あたり50万円を上限に助成金を支給するというものです。
「130万円の壁」に対しては、130万円を超えてしまっても一時的なものであれば2年間は社会保険上の扶養から外れなくよいというものです。
ここで重要になるのが、被保険者が加入している健保組合の扶養条件に適合しているかということです。健保組合によって条件が異なりますので確認が必要になります。

4. 最低賃金の改定により、昨年と同じ勤務状況の場合は年収が増加します。

今から2023年度、2024年度の年収を試算しライフプランを見直してみるのも良いと思います。

池田 かず美 2023年11月25日