2011年04月15日
特別寄稿 ~地震保険再考~
今回の地震で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
地震の発生回数は、過去500 年間に375 回程度で、1 年間に6 万回も発生する火災に比べ、その発生回数は極めて少ないといえます。
阪神・淡路大震災(1995.1.17)以後、地震に関し関心が高まり地震保険の火災保険への付帯率は増加しましたが、2007 年(平成19 年)でその付帯率は44%,世帯加入率(平成21年度)23%にとどまっています。
阪神・淡路大震災では、支払い件数6 万5 千件、支払額783 億円、加入率9%であり、今回の東日本大震災では、推定支払い件数50 万件、推定支払額1 兆円、加入率23%といわれています。
①地震保険では、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害が補償されます。
火災保険では地震・噴火・津波による火災損害は補償されません。
今回の東日本大震災では、大津波が特徴ですが大規模火災も同時に発生していました。
大規模地震発生時には、想定外の大規模火災損害が発生することから火災保険の補償から除外し、政府のバックアップのある地震保険で対応することとしています。
地震保険は巨大地震が発生した場合でも保険金の支払いに支障をきたさないように火災保険金額の50%までとしています。又、「地震保険に関する法律」の趣旨である被災者の生活安定に寄与することを目的としています。
地震保険に関し、政府は関東大震災級の地震を想定し、支払保険金の総額は1回の地震等で5 兆5 千億円と現在決めています。 この金額は適宜見直されます。
あって欲しくはありませんが、関東に直下型の大地震が起きる可能性や東海地震の発生の可能性は以前から指摘されています。
②地震保険が支払われる保険金とは、建物の場合、損害を受けた主要構造部「基礎、柱、壁、屋根等」と焼失・流出した床面積で判断します。全損・半損・一部損に分かれます。
・全損(建物時価50%以上の損害、床面積70%以上焼失等)→地震保険金額100%(時価額限度)・半損(建物時価20%以上50%未満、床面積20%以上70%未満焼失等)→保険金額の50%(時価額限度)
・一部損(建物時価額3%以上20%未満、床上浸水等)→保険金額の5%(時価額限度)
③家財については、建物と違い損害の額が保険の対象である家財全
体の時価額の80%以上(全損)、30%以上80%未満(半損)、10%以上30%未満(一部損)が対象になります。
④建物主要構造部に被害がない場合は保険金が出ないが、液状化
で建物が傾いたり、沈んだりした場合には支払い対象となります。
マイホームをお持ちで、まだ地震保険に入ってない方は是非、ご加
入をご検討されたらどうでしょうか。途中からの加入もできますので現在加入の保険会社にご相談ください。
佐藤 博明 2011年04月15日