家庭経済の耳寄り情報

2024年03月10日

令和6年から適用される税制改正について ~相続税と贈与税に関して~

 令和6年(2024年)から既に相続税と贈与税に関し、以下の変更点の適用が開始されました。
そこでこれらの相続税関連の税制改正を分かり易く説明いたします。

①暦年課税制度の生前贈与加算に関しての変更
 相続開始前に受けた贈与に相続税を加算する制度です。
生前に渡した資産(財産)に関して相続税の対象になる期間が次の様に変更になりました。
暦年贈与として基礎控除(毎年110万円)までの資産を渡した場合に於いても、この生前贈与加算が適用されます。
● 2023(令和5年)年12月31日迄は、「3年間の贈与」でした。
● 2024(令和6年)年1月1日以降は「7年間の贈与」に変更されました。
但し:4年~7年の間の贈与合計額から100万円を控除した残額に適用します。

[図をクリックすると拡大できます]

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②相続時精算課税制度に基礎控除の創設
 相続時精算課税制度は子・孫(20歳以上)の直系尊属(60歳以上)から子・孫に資産移転を容易にするために設けられた制度です。
特別控除額として、2,500万円迄は贈与時に無税で贈与が出来、相続が発生した時に相続税として計算し、清算します。
2,500万円以上の贈与に関しては、贈与時に一律20%の贈与税を負担します。負担した贈与税は相続時に相続税で清算します。
2024年から基礎控除(下記)を創設します。この制度を利用して土地を贈与した場合、「小規模宅地等の特例」・「居住用の3,000万円特別控除」及び物納が使用できなくなります。 
また一度利用すると暦年課税に変更出来ません。詳しくはお近くのFPにご相談ください。
● 相続時精算課税制度を一度選択すると、以後毎年110万円以下の贈与であっても、全ての贈与税を申告する必要がありました。(2023年12月31日まで)
● 毎年110万円を基礎控除として控除でき、贈与税申告が不要になります。(2024年1月1日から実施)

[図をクリックすると拡大できます] 

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③教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
 子・孫(30歳未満)の直系尊属が教育資金管理契約に基づき子・孫に贈与した場合、贈与時に1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。
● 適用期限を2026年3月31日まで3年延長しました。
契約終了時の残高がある場合は、贈与税が加算されます。⇒税率は贈与税の一般税率を適用

④結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
 若年層の結婚・出産・子育てを支援するため、直系尊属が当該管理契約に基づき子・孫に贈与した場合、贈与時に1,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。
● 適用期限を2025年3月31日まで2年延長しました。
契約終了時の残高がある場合は、贈与税が加算されます。⇒税率は贈与税の一般税率を適用

⑤マンションの相続税評価の見直しについて
市場での売買価格と相続税評価額が大きく乖離している場合がありますので、これを是正する制度を設けました。
● 乖離率の計算を2024年1月1日から適用します。(相続等又は贈与)
新たな相続税評価額=現在の評価額 × 乖離率 × 0.6


 皆様の相続税や贈与税に対してお役に立てれば幸いです。   
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岩崎 康之 2024年03月10日