家庭経済の耳寄り情報

2024年02月25日

金融出前授業から見えた、高校生が望む「お金」の学び

「実際に株を売買したいのですが、どうすればいいですか?」
「ファイナシャルプランナーって儲かりますか?」
2023年「金融出前授業」で訪問したある高校で、受講された1年生の方たちから受けた質問のごく一部です。

2022年4月から高校で義務化された金融教育では、成人年齢が18歳になったこともあり弊組合では、消費者として身を守る知識を中心とした授業内容を要望いただく場合が多く、この時も「リスク」に関するコンテンツを多く加えました。
・クレジットカードによるリボルビング払い
・スマートフォンで利用できる消費者金融
・消費者トラブル(契約)
・特殊詐欺
など。ただ授業を受けていただいた高校生の皆さんの関心とは、少し違っていたようです。

「15 歳のお金とくらしに関する知識・ 行動調査 2023 年」(金融広報中央委員会が全国の高校1年生3,000人に対してインターネットによるアンケート調査を実施)によると、すでに中学校の授業でお金(家計・くらし)について学んだと回答しています。「成人年齢引き上げ」も94.8%が知っていると回答しているものの、契約に関する知識はこのアンケート調査では身についていない結果が出ています。
高校生の皆さんの関心に応えるコンテンツと共に、消費者保護の教育も併せてバランスを取って、金融リテラシーを高めていく必要があるようです。

一方で別の高校での「金融出前授業」では、事前に奨学金に関する情報提供をお願いしたいと要望いただき、授業の後半を奨学金の詳細情報をお伝えすることになりました。
前半はリボルビング払いや消費者トラブルなど、身を守るテーマの授業に少し難しそうな顔つきの生徒さんたちが、後半からは前方のデスクに移動して、熱心にメモを取り始めたのです。
・奨学金には給付型(返済不要)と貸与型(返済が必要)があること
・大学には奨学金に関する情報がたくさん用意されていること
・企業が支給する給付型の奨学金が多数存在すること
・貸与型の場合、返済(金額×期間)に注意する必要があること(実際に返済に苦労した筆者の体験談もお伝えしています)
なりたい自分を叶える進学に向けた情報がどこにあるのか。どのように探すと、より良い情報に辿り着くのか。将来を考えるツールを見つける方法を知る機会になったようです。

さきほどの「15 歳のお金とくらしに関する知識・ 行動調査 2023 年」では、中学校の授業で「学んだこと」と「教えてほしいこと」も調査していますが、「教えてほしい」ことの上位には「お金のトラブルの回避方法・対処方法」と共に、「起業・副業・兼業など将来の働き方」、「人生設計と資金 計画」が選ばれています。

国語、数学、理科、社会、英語など従来の学びはもちろんですが、人生を設計するための知識という点で「お金」を学びたいという希望に応えていくことが重要になってきているのではないでしょうか。

長尾 孝士 2024年02月25日