家庭経済の耳寄り情報

2024年06月10日

患者申出療養とは?

 我々が病院等で受診した場合の治療費の支払い方法として、保険適用治療と保険適用外治療(自由診療)があります。
保険適用治療は自己負担が治療費の10%から30%で済むのですが、保険適用外治療の場合は自己負担が治療費の100%となります。
保険適用治療と保険適用外治療を併用する混合診療は自己負担が100%となります。
今回ご紹介する患者申出療養は、混合診療の例外として、一部保険適用治療が可能となります。

 患者申出療養とは、未承認薬などによる治療を患者自身が希望し、主治医に申し出ることによって行われる治療制度です。
日本では一般的に行われていない治療法でも海外では行われていたり、治験に参加したかったけれど参加できなかったり、試したい治療や薬はあるけれどその治療を受けられる状況でなかったり、実施されていなかったりすることがあります。

 そのような場合に、患者が主治医と相談し、治療を受けることや未承認の薬を使うことなどを主治医に申し出ることによって、治療を検討する制度が患者申出療養です。
その後、主治医と中核病院が連携して治療計画を立て、できる限り身近な医療機関で治療を受けられるように実施が検討されます。

令和5年8月1日現在、患者申出療養として実施されている治療は、がん治療など数種類です。
最新情報は厚生労働省「患者申出療養の各技術の概要について」をご覧ください。

患者申出療養は保険適用になる?

 患者申出療養は、保険適用外の治療を患者が希望する場合に検討されるものです。したがって、治療においては、保険適用外の治療と保険適用の治療が併用されることになります。

 現在の国のルールでは、原則、保険適用外の治療と保険適用の治療が併用されると、治療にかかる費用すべてが自己負担となります。これは保険適用治療と適用外治療を併用する混合治療が原則禁止されているためです。

 なぜなら、混合治療を無制限に認めてしまうと、効果が必ずしも明らかになっていない医療が広く普及してしまう懸念、本来は保険適用できるにもかかわらず患者が保険外の費用負担を求められる可能性があるなど、公的保険全体に影響があるとされているためです。

患者申出療養と自由診療の違い

 一方、患者申出療養は保険適用部分の治療においては、自己負担割合までの負担ですみますから、費用面において両者には大きな違いがあります。

 民間医療保険でも患者申出療養という特約が用意されています。一度確認されては如何でしょうか。

佐藤 博信 2024年06月10日