家庭経済の耳寄り情報

2025年02月25日

確定拠出年金(DC)の拠出限度額の見直しについて

「確定拠出年金法施行令及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部 改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部を改正する政令」(令和3年政令第244号)が令和6年12月1日に施行され、確定拠出年金(企業型DCと個人型DC(iDeCo))の拠出限度額にDB等の他制度掛金相当額を反映されることになりました。


1 企業型DCの拠出限度額の見直し
企業型DCの拠出限度額について、全てのDB等(DB、厚生年金基金、公務員の退職等年金給付等)の他制度の掛金相当額を一律月額2万7,500円と評価していたのを見直し、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額(他制度掛金相当額)を反映させることで、公平できめ細やかな算定方式に改善が図られました。

(他制度掛金相当額とは)
DB等の他制度ごとにその給付水準から企業型DCと比較可能な形で企業年金の年金数理人が評価した額(実際の掛金の額とは異なります。)で、複数のDB等の他制度に加入している場合はその合算になります。
詳細については、勤務先の企業年金の担当者等に確認してください。

⑴ 改正前拠出限度額
① 企業型DCのみに加入する場合

月額5万5,000円

② 企業型DCとDB等の他制度に加入する場合
月額2万7,500円
(5万5,000円から一律に2万7,500円を控除した額)

⑵ 改正後拠出限度額
月額5万5,000円からDB等の他制度掛金相当額を控除した額

(経過措置)
DB等の掛金は、DCと異なり上限額が設けられていませんので、DB等の他制度掛金相当額が2万7,500円より低い場合は、DCで拠出できる額は大きくなります。
一方、DB等の他制度掛金相当額が2万7,500円より高い場合は、DCで拠出できる額は小さくなります。
このため、既存規約のDC又はDBの設計を見直すまでは、成功時の企業型DC規約に基づいた従前の掛金拠出を可能とする経過措置が設けられています。

2 企業年金に加入する者の個人型DC(iDeCo)の拠出限度額の見直し
個人型DC(iDeCo)の拠出限度額の算定に当たっては、全てのDB等の他制度の掛金相当額を一律月額2万7,500円と評価していたのを改め、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額(他制度掛金相当額)を反映させるとともに、上限を2万円に統一することで、企業年金(企業型DCやDB等の他制度)に加入する者の拠出限度額について公平性が図られました。

⑴ 改正前拠出限度額
① 企業型DCのみに加入する場合

月額5万5,000円から各月の企業型DCの事業主掛金額を控除した額です。
ただし、2万円が上限となります。

② 企業型DCとDB等の他制度に加入する場合
月額2万7,500円から各月の企業型DCの事業主掛金を控除した額です。
ただし、1万2,000円が上限となります。

⑵ 改正後拠出限度額
月額5万5,000円から各月の企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額の合計額を控除した額。ただし、2万円が上限となります。
したがって、企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額の合計額が3万5,000円を超えると、その分、iDeCoの拠出限度額は2万円から減ることになります。
また、iDeCoへの拠出は月額5,000円以上必要となっていますので、企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額の合計額が5万円を超えると、iDeCoへの拠出ができなくなりますので注意が必要ですので、企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額の合計額の詳細については、勤務先の企業年金担当者等に確認してください。
なお、国家公務員と地方公務員の方の場合は、他制度掛金相当額(退職等年金給付の掛金相当額)が省令で8,000円(令和6年12月1日現在)と告示されていますので、上限の2万円まで拠出可能となっています。

中原 潔 2025年02月25日