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2025年04月10日

所有者不明土地の解消に向けた民法等一部改正法

 所有者不明土地の解消に向けた法律改正は多岐にわたりますが、今回は相続登記義務化関係の改正について解説します。

1.法律改正の背景

1)所有者不明土地とは?
相続登記がされないこと等により、
① 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
② 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地

2)所有者不明土地があることでどんな問題が生じますか?
土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や 土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど様々な問題が生じます。

2.民法等一部改正法
相続登記義務化関係の改正については施行日令和6年4月1日
住所変更登記義務化の改正については施行日令和8年4月1日

1)不動産登記法の改正
所有不明土地の主な発生原因は相続登記の未了や住所変更登記の未了であるとされていることから、所有者不明土地の発生予防の観点から不動産登記法の改正を行うこととした。

令和3年国土交通省調査
 所有不明土地割合24% 
 原因別 
  相続登記未了 64%
  住所変更登記未了 34%

① 相続登記の申請の義務化
・正当な理由のない申請漏れは10万円以下の過料の罰則
・簡易な義務履行手段としての相続人申告登記の新設
・登記漏れを防止する観点から (※)所有不動産登記記録証明制度を新設

② 住所変更登記等の申請の義務化
・正当な理由のない申請漏れは5万円以下の過料の罰則
・登記官が、他の公的機関(区役所等)から取得した情報に基づき職権的に住所変更登記等をする新たな仕組み

(※)所有不動産登記記録証明制度
 相続登記の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記申請にあたっての当事者の手続き負担の軽減をするとともに登記漏れを防止する観点から、登記官において、特定の被相続人が相続人の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し証明する制度を新設しました。
なお、交付申請を利用できるのは以下のとおりです。
・自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について本証明書申請可能
・相続人その他の一般承継人は、被相続人その他の被承継人にかかる本証明書について交付請求可能

佐藤 博信 2025年04月10日