家庭経済の耳寄り情報

2025年04月25日

資産形成3つの柱とは

 資産形成を成功させるためには、「貯める」「増やす」「守る」という3つの柱が重要です。まずは収入の15〜20%を貯蓄に回すことを目標にしましょう。次に、その貯蓄したお金を投資によって増やします。そして投資先の分散や資産の分散などでリスクから資産を守ります。

(Ⅰ)資産形成の始め方
 資産形成は、毎月貯めることから始まります。
1. 家計の見直し: 家計の見直しを行い、無駄な支出を削減します。
2. 緊急資金の確保: 3〜6ヶ月分の生活費を貯蓄することで生活が安定します。
3. 目標設定: 教育資金、住宅購入、老後資金など具体的な目標を設定します。
4. 資産運用の学習: 投資の基礎知識を身につけ適切な投資をします。
5. 少額から始める: NISAやiDeCoなどの税制優遇のある仕組みを活用します。

(Ⅱ)税制優遇の活用
 資産形成には、次のような税制優遇の仕組みを活用することをお勧めいたします。
1. 新NISA: 新NISAの非課税保有限度額は1,800万円でその内1,200万円はつみたて投資枠と成長投資枠のどちらでも投資が可能です。残りの600万円はつみたて投資枠でしか投資できません。新NISAは、つみたて投資枠を上手に活用することで最大1,800万円まで分配金・配当金や売却益が非課税となるため、資産運用を行う上で非常に強い味方となってくれるでしょう。
2. iDeCo: 個人型確定拠出年金は、公的年金(国民年金、厚生年金)とは別に給付が受けられる私的年金制度の一つです。掛金が全額所得控除され、運用益も非課税で受取時も税制優遇があります。拠出限度額(月額2万円、2.3万円、6.8万円)は国民年金の被保険者種別やお勤め先の企業年金の違いによって異なります。受取りは60歳以降となるので老後資金の準備に適した投資です。

(Ⅲ)効果的な資産運用戦略
 資産運用の成功の約90%は資産配分(アセットアロケーション)で決まるといわれています。株式、債券、不動産、現金など異なる資産クラスにバランスよく分散投資することで、リスクを抑えながらリターンを追求できます。自分のリスク許容度や投資期間に合わせた資産配分を考えましょう。
1. 株式(国内・海外): 長期的な高リターンが期待できる一方、短期的な変動リスクが高い資産です。若い世代は比率を高めに設定できます。
2. 債券: 株式と比べて安定性が高く、定期的なインカム収入が期待できます。株式市場が下落した時の緩衝材となります。
3. 不動産・REIT: インフレヘッジになりやすく、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があります。分散効果が高い資産です。
4. 現金・預金: 緊急時の備えとして、また投資機会を待つための待機資金として一定額を保有しておくことが重要です。

(Ⅳ)長期・積立・分散投資
 長期・積立・分散投資は、資産形成の基本です。長期に投資できるのが個人投資家の強みになります。余裕資金の範囲内で投資しましょう。
1. 長期投資: 短期的な市場変動に惑わされず、長期投資は複利効果を最大限に活用できます。10年以上の長期で投資をすることを考えましょう。
2. 分散投資: 国や地域、業種、資産クラスなどを分散させることで、リスクを低減しながらリターン(利益)を追求できます。
3. 積立投資: 定額を定期的に投資する手法で、市場の高い時も安い時も平均的な価格で購入できるため、タイミングを計る必要がありません。安い時はバーゲンセールとなりますので、気を揉む必要はありません。

 資産形成は一朝一夕にできるものではありません。
コツコツと継続していくことが重要です。
自分の状況や目標に合わせて無理のない計画を立て、定期的に見直しながら進めていきましょう。
また、最新の制度や市場動向にも目を向け、必要に応じて戦略を調整していくことをお勧めします。
お金のプロフェッショナルであるファイナンシャルプランナーに相談して資産形成を始めるのも良いでしょう。

田邊 勝彦 2025年04月25日