2026年09月10日
75歳以上金融所得の医療費反映決定!その対策方法は!
「健康保険法等の一部を改正する法律案」が令和8年(2026年)5月29日に成立しました。今回の改正により、後期高齢者(75歳以上)医療において、上場株式の配当などの「金融所得」が、保険料の算定や窓口負担割合の判定に公平に反映されることが決まりました。
法律は成立しましたが、システムの対応などに時間がかかるため、実際の運用開始は「公布後4〜5年後(2030年〜2031年頃)」になる見込みです。まだ数年の猶予がありますので、今のうちから冷静に対策を進めていきましょう。
なぜ、今までは反映されていなかったのか?
これまでの仕組み: 源泉徴収ありの特定口座で得た配当や譲渡益は、確定申告をしなければ住民税の所得にカウントされません。そのため、市区町村が個人の金融所得を把握できず、結果として保険料や窓口負担には影響していませんでした。
これからの仕組み: 金融機関などに対し、金融所得の報告書(法定調書)をオンラインで後期高齢者医療広域連合へ提出することが義務付けられます。これにより、確定申告をしていなくても金融所得がすべて把握されるようになります。
負担はどれくらい増える?具体的なシミュレーション
この仕組みが導入されると、負担はどれくらい変わるのでしょうか。
厚生労働省のホーム-ページに以下のような事例が載っています。
例えば、の例として後期高齢者のご夫婦を例に見てみましょう。
夫(被保険者本人): 年金 230万円 + 金融所得(配当など) 50万円
妻(配偶者): 基礎年金 83万円
これまで、夫の金融所得(50万円)はカウントされていなかったため、「保険料は118,928円、窓口負担は1割」で済んでいました。
しかし新制度になると、金融所得が合算されるため、以下のように負担が増加します。
保険料: 118,928円 →169,978円(約5万円の増額)
窓口負担: 1割 → 2割負担(2倍に増加)
医療費が多くかかる年齢層にとって、窓口負担が2倍になるのは非常に大きなインパクトです。
厚生労働省の資料にもある通り、「NISA口座」での配当や譲渡所得は今回の判定対象外(影響なし)です。高齢者の方の中には「いまさら積立投資でもあるまいし、手続きが面倒」とNISA口座を開設していない方も多いようです。しかし、せっかくの非課税枠を使わない手はありません。
① 特定口座から「NISA口座」へ数年かけて移し替える
まだ口座を開設していない方は、すぐにNISA口座を開き、特定口座で保有している株や投資信託をNISAへ移し替えていきましょう。
注意点: NISAには生涯投資枠(1,800万円)で、年間投資枠(360万円、うち個別株が買える成長投資枠は240万円まで)の上限があります。そのため、数年間に分けて計画的に移し替えるのがポイントです。
② NISA枠を超える分は「分配金なしの投資信託」で取り崩す
NISAの枠(1,800万円)を超える資産をお持ちの場合、個別株のまま配当をもらい続けると、その全額が「金融所得」としてカウントされてしまいます。
そこでおすすめなのが、特定口座の中で「個別株」から「分配金なしの投資信託」に切り替え、毎月定額や定率で取り崩して“私的年金”のように使う方法です。
投資信託を取り崩した場合、受け取ったお金の全額が所得になるわけではありません。「増えた利益の部分(利益比率)」だけが金融所得とみなされるため、課税対象を大幅に低く抑えることができます。
【例】元本2,500万円が、値上がりして現在3,000万円(利益500万円)になっている場合
ここから年間120万円分を取り崩すとします。
個別株で配当(利回り4%を想定)を120万円もらう場合:
→120万円の全額が「金融所得」にカウントされる。
分配金なしの投資信託を120万円分取り崩す場合:
→120万円のうち、100万円分は「元本の払い戻し」とみなされます。所得になるのは増えた利益分(500万/3000万の比率)だけなので、わずか20万円だけが「金融所得」にカウントされます。
ここでは、個別株も、投信も同じ利回りでの想定ですが、実際には銘柄によってもまちまちなので、保険料や窓口負担が増えても、それ以上に個別株が上昇して結果的に従来のままの方が、良かったということもありえます。その点を踏まえて行動しましょう。
磯野 正美 2026年09月10日


