2011年09月04日
年金制度の拡充に一役買う 「パートの厚生年金見直し」
9月1日、厚生労働省は、社会保障と税の一体改革の具体化に向けた作業の一環で、以前から年金改革の懸案の一つであった「パートの厚生年金見直し」に着手するとの新聞報道がありました。
内容は、労働条件や収入条件を見直すという以下のものです。
1、 現状の「週30時間以上働いている人」は「週20時間以上」に広げる。
2、 年収基準は130万円未満に引き下げる。
翻って、女性の年金を考えてみると、会社員の妻の多くは「第3号被保険者」で保険料を払わなくても国民年金がもらえます。(実際は夫が入っている厚生年金:「第2号被保険者」全体で第3号の保険料を払っている仕組みに基づく)
受給額は、満額で年間約80万円です。それに結婚前5~6年会社に勤務した厚生年金6~7万円が加算されるというのが相場である。余りにも少ない金額です。
結婚して子供が生まれ、下の子が小学校高学年になって手がかからなくなれば、家計を助ける等のためパート勤務を始めるケースが多いでしょう。それも夫の被扶養配偶者になり所得税の「配偶者控除」を考慮し、103万円未満に抑えるというのが一般的です。
今回の見直しによりパート勤務が厚生年金の対象になれば、保険料の半分を企業が負担をして、自分自身の年金受給額が増えることになります。
現在、労働者の4割をパートなど非正規労働者が占めるようになり、年金制度にはひずみが生じています。厚生労働省では、見直しにより国民年金から厚生年金に移行する対象者は400万人になると試算しています。
総務省の家計調査(平成21年)によると世帯主60歳以上の1ヵ月の生活費は27.7万円ですが、家計収入は22.3万円で不足額が5.4万円となっています。見直しにより女性の年金受給額がアップし、少しでも不足額を補うことができれば朗報です。
一方、老後の生活費に占める公的年金の割合は約7割となっています。年金制度の底上げ、拡充につながるこの見直しが、是非、早期に実現することを期待しています。
三好 勝 2011年09月04日