家庭経済の耳寄り情報

2011年09月04日

債券型投資信託のリスクの見直し

今、ヨーロッパの財政不安や米国債の格下げに端を発して「ソブリンリスク」(政府債務の信任危機)が問題になり急速な円高が続いています。これを機会に、改めて債券の持つリスクについて見直しては如何でしょうか。

海外債券投資信託の代表的なリスクには、為替変動リスクがあります。購入時から為替が円安になれば為替差益が出ますが、今回のように円高に振れると為替差損となって、債券の利回り以上の為替損失が生じるどころか、元本割れのリスクが生じかねません。
そのほかに、今回のソブリンリスクの問題のような、信用リスクの問題があります。信用リスクの高い債券ほどデフォルトの可能性が高いことから債券価格は下落し、利回りは高くなる傾向にあり要注意です。
また、債券は原則、固定利率ですが、流通市場においては債券の価格は、その時の金利情勢によって変動します(金利リスク)。
すなわち、金利が下降局面では債券価格は上昇し、利回り(投資額あたりの利息の割合)は下落、金利が上昇局面では債券価格は下落し、利回りは上昇します。

一方で、債券の価格は満期までの年数によって違いが生じます。満期償還までの年数が長い債券は、年数の短い債券よりも値動きが大きくなります。この様な債券の価格変動リスクをはかる指数に「デュレーション」という指標があります。
「デュレーション」は投資元本の回収までに要する平均残存期間を表しています。その為、金利の変動に対してどの程度債券価格が変動するかをはかることができ、「デュレーション」が長い債券の方が短い債券よりも金利変動の影響を大きく受け、金利に対する価格変動が大きくなります。
例えば、金利が1%上昇した時、「デュレーション」が3の場合、債券価格は約3%下落し、「デュレーション」が7の場合、債券価格は約7%下落することになります。
債券は通常、年数が長いほど利回りが高いので、長期債に投資する「ディレーション」の大きい投資信託は「リターンが大きい代わりに、価格変動リスクを取っている」と考えられます。今回のように価格変動のリスクが表面化する局面では、価格下落の影響をより多く受ける事になります。従って、価格変動リスクをおさえる運用の場合は「デュレーション」の小さい投資信託を選択する方が得策と考えられます。

土井 健司  2011年09月04日