家庭経済の耳寄り情報

2012年04月20日

相続税の税制改正が心配という方へ

 今、国会では「社会保障の安定財源確保」のための税制改正が話し合われています。消費税率を5%から10%へ引き上げる点ばかりが注目されていますが、同じ法案の中に、一旦は見送られた「相続税」の見直し案が含まれています。
法案が可決され、相続税の基礎控除が現行の6割に引き下げられれば、今まで相続税とは無縁だった多くの人々が相続税を支払うことになります。
平成27年1月1日以後に発生する相続から適用される予定ですので、準備期間は2年8カ月しかありません。

ただ、多くの方は「相続税がなんだか心配」と、漠然とした不安にかられているのではないでしょうか。まずは、簡単に自己診断をしてみましょう。

手順1: 相続税の対象となる財産を書き出します。
主なものは土地・建物・預貯金・株式・死亡保険金・死亡退職金です。

手順2: 財産の価格を調べる。
土地が一番複雑ですが、今回は概算なので、公示価格の8割で(路線価が分かれば路線価に面積を乗じて)計算します。
建物は固定資産税評価額になります。毎年届く固定資産税の通知書に記載されています。
預貯金は残高、株式は時価、死亡保険金・死亡退職金は受取額です。
なお、死亡保険金と死亡退職金には非課税枠がありますが、今回は省略します。

手順3: マイナスの財産(債務)や葬儀費用は、控除します。

手順4: 基礎控除額を計算します。
改正後の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。

手順5: 相続財産(債務の控除後)から基礎控除額を控除します。

判定:
① 相続財産が基礎控除額を超える場合
相続税の申告が必要になります。しかし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の適用が受けられる場合もあるため、必ず相続税が発生する訳ではありません。

② 相続財産が基礎控除額以下の場合
相続税を申告する必要はありません。

 もし、相続税が発生する場合にも、生前贈与を活用して相続税額を減らしたり、納税資金を準備したりと、手を打つことが出来ます。まずは、現状を把握して、漠然とした不安から抜け出しましょう。

原 由香 2012年04月20日