家庭経済の耳寄り情報

2012年04月30日

日本初のレバレッジ型・インバース型ETFとは?

 日経平均株価は、3月に入ってからようやく1万円を超えましたが、このところまた1万円を割り込んでいる状況です。
この日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動するETF(上場投資信託)はいくつかありますが、最近レバレッジ型・インバース型という新しいタイプのものが登場しています。

 レバレッジ型ETFとは?

レバレッジ型ETFとは、「日経平均レバレッジ・インデックス」あるいは「TOPIXレバレッジ(2倍)指数」などのレバレッジ指数に連動する運用成果を目標とする株式投資信託です。

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これらの指数は、現物株式の株価(指数)の変動率の2倍の値動きになるもので、仮に株価(指数)が前日より5%上昇したら、このレバレッジ指数はその2倍の10%上昇となるように計算されています。

たとえば、株価が100で翌日5%上昇したら105ですが、その変動率の2倍であれば、レバレッジ指数は10%上昇ですから110となります。
翌々日株価が10%下落したら、105は94.5になり、レバレッジ指数は110が88になると計算されます。

レバレッジ型ETFはこの指数に連動しますから、現物株価より上下に大きく動くため、利益・損失ともに大きくなります。

インバース型ETFとは?

インバース型ETFとは、「日経平均インバース・インデックス」あるいは「TOPIXインバース(-1倍)指数」などのインバース指数に連動する運用成果を目標とする株式投資信託です。

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レバレッジ指数は、現物株式の株価(指数)と同じ方向に動きますが、インバース指数の方は、現物株式の株価(指数)の変動率のマイナス1倍の値動きになるので、逆方向に動きます。

たとえば、株価が100で翌日5%上昇したら105ですが、その変動率のマイナス1倍であれば、インバース指数は95になります。
翌々日株価が10%下落したら、105は94.5になりますが、インバース指数は逆に95が104.5に上昇するような計算になります。

インバース型ETFはこの指数に連動するので、現物株価の値動きと逆の利益・損失が生じます。

投資の注意点は?

どちらのタイプのETFも、長期投資には向かないことが注意点として挙げられます。

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レバレッジ型ETFあるいはインバース型ETFの価額が連動する指数は、対象となる株価(指数)が前日と比べてどれだけ変動したかという比率を基に計算されます。したがって、ETFの値動きも複利で増えたり減ったりしていきます。

株価(指数)が上昇を続ける局面では、レバレッジ指数は対象株価(指数)の変動率の2倍で推移していくことに加え複利効果もあり、株価(指数)との乖離の幅が上方向に広がっていきます。
では、株価(指数)が上げ下げを繰り返していく局面において、レバレッジ指数はどのように動いていくかシミュレーションしたところ、株価(指数)より下方向に乖離していきました(グラフを参照)。
つまり、長期に渡って株価(指数)が上昇を続けることはあり得ず、上がったり下がったりが繰り返されていくことが通常であると考えられるため、長期投資には向かないことがわかるかと思います。
これは、インバース指数においても同様で、株価(指数)は上げ下げが繰り返されていくことから、グラフのようなインバース指数の動きになるので、やはり長期投資には向かないことが見て取れます。

では、レバレッジ型ETFやインバース型ETFは、どういう投資に向くのかというと、短期ということになるでしょう。
レバレッジ型ETFは株価の上げ基調のときに買い、ここからは下がっていくと判断したときに売ることで、インバース型ETFは株価の下げ基調のときに買い、上がってきたら売ることで、それぞれ利益が得られるのが基本です。インバース型ETFは、信用取引口座も開かず証拠金も差し入れないで「カラ売り」ができるようなイメージですね。

ただし、投資につきものである「売りのタイミング」は難しいので、特に投資の初心者には向かない商品かもしれません。
また、投資に慣れている人でも、短期投資向きということで、毎日の株価のチェックが欠かさずできる人でないとリスクの高い商品といえるでしょう。

吉田 美砂緒 2012年04月30日