家庭経済の耳寄り情報

2012年06月10日

どんな場合でも長期投資が良いのでしょうか?

 投資には戦略的投資(充分に分析してこれと決めた株式を長期に保有し利益をだす - バフェット流とでも言うのでしょうか)と戦術的投資(短期の経済・株式・為替動向を分析し、売買の上限・下限を決めて短期―数ヶ月以内をメドに取引して利益を確保する)があると言われます。 
 FPは普通、長期投資をお客様に勧めます。はたしていつでもそしてどんな場合でも長期投資が良いのでしょうか?

お金の価値が違う ~ 私が去年体験した事

国内旅行と海外旅行

国内旅行と海外旅行

 私は去年夏、中国旅行と国内旅行に行きました。 私の評価は右表の通りです。

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 バスで行く2日間の国内旅行と往復とも飛行機で行く8日間の旅行費用が同じ値段なのです。しかも、ホテル・食事とも中国旅行の方は満足度が高いのです。どうしてこんなことが起きるのでしょうか? 
理由は為替と物価です。円高のため同じ1万円の価値が違うのです。

為替の変遷

為替

為替

 もうひとつ為替の例をあげましょう。これらの国は私が現役サラリーマンのころお客様に売り込みのため訪問した国の例です。

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 1980年は私が初めてアジアに駐在した年です。32年間でマレーシアとタイでは円が4倍の強さになり、アメリカで3倍、オーストラリアでは2.5倍程度の強さになりました。 
これではいくら外貨ベースで利益を出しても、円ベースで利益を出すことは至難の技です。
 ここ10年の間、私のまわりでも多くの方が外貨ベースの株式、投資信託やMMFでは利益をだしながら、円ベースでは損失を出しています。日本の為替を歴史的にみると幕末の開国以来ずっと円高傾向なのです。日本国内で円を使って生活する私達には戦略的な長期外貨投資は考え物だったのです。

外貨投資で利益をだすには!

 為替はいつも上がったり、下がったりします。私達一般市民でも、よく世界の経済・財政・政治の動きを新聞テレビで追っていると3年後の円のレートはわかりませんが数ヶ月後の為替のトレンドはかなり精度高く察知出来そうです。新聞テレビを意識して見て感性を磨きましょう。外貨ベースの投資を円でする際は必ず今後数ヶ月の円のトレンドを見極めて、円の売の基準と買の基準を設けることが重要です。そして、売ったり買ったり、また時には売買を見合わせたりして戦術的(短期)に行ってください。円ベースの利益をだす確率は高まります。
 
 ただし、はやりのFXトレードの中で日単位、時間単位と秒単位のトレードはよほどの自信がない方以外にはお勧めできません。特に時間単位、秒単位の取引は四六時中緊張を強いられサラリーマンとしての本業がおろそかになります。またレバレッジによる損失が出る可能性が高いからです。


 リスク分散のため、外貨に分散投資することは必要なことです。3年後の為替レートの予想はできないが、3ヶ月後のレートのトレンドはあなたにも読めるようになります。

鈴木 榮三郎 2012年06月10日