2012年12月20日
最期まで自分の意思を貫いた人生を送るためには! ~任意後見・任意代理契約~
成年後見制度は、大きく区分すると2つに分けられます。
ひとつは法定後見制度で、認知症・知的障害等により既に判断能力が不十分な人に対するもので、その判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」に分かれます。ここでは残念ながら“自分の意思”は反映されません。
それに対し、任意後見制度とは、自分が必要な判断能力をもっている元気なうちに、自分が信頼できる人を見つけて、将来自己の判断能力が衰えてきたとき、自分の財産管理や事務手続きの内容を、“自らの意思”で事前の契約によって決めておく制度です。契約者と「任意後見人」との合意により、自由にその内容を決めることが出来ます。
これは、将来は認知症になってしまうという不安を、将来を見越して事前に公証人役場で任意後見契約を結んでおきます。そして、認知症を発症した時点で家庭裁判所に申し立てて、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」の選任をする形をとるので、いわば“老後の安心保障”を手にすることを意味します。
しかし、自分が認知症を発症した場合、自覚を持って行動に移せる人はいないのが実情です。
そこで、任意後見契約とともに委任契約を締結させるケースが、ほとんどとなります。これを「任意代理契約」と呼びます。
この契約は大きく2つの役割があります。
ひとつは「財産管理委任契約」で、自分の財産の管理(預貯金や年金、税金や公共料金、医療費等の支払い手続きなど)や生活上の事務手続き(生活費の受送金、介護認定手続き、介護サービス契約締結、老人ホームへの入居手配など)があります。
もうひとつは「見守り契約」で、契約者と定期的に連絡をとることによって、本人の生活状況や健康状態を確認して“身上監護”するものです。
双方とも任意の契約ですので、その契約内容は自由に決めることが出来ます。
しかし、任意代理契約は、任意後見契約と大きく異なる点があり、十分な注意が必要となります。
その理由は、任意後見契約では必要な公正証書が不要であり、任意後見監督人のようなチェック機能がないため、後々親族間や様々な人間関係から生じるトラブルや金銭問題等などが発生する可能性が高くなります。
任意代理契約は、ご家族やご友人など自分が信頼できる人と契約を交わすことはできますが、このようなトラブルを解消するには、第3者として利害関係のない専門家(弁護士・司法書士・ファイナンシャルプランナーなど)を後見人にすることをお勧めします。
滝田 知一 2012年12月20日