2013年01月10日
住宅ローンの史上最低金利が続く今、変動金利タイプの住宅ローンは大丈夫か?!
長期固定金利の代表格であるフラット35で最も低い金利が最近5ヶ月1.81%~1.89%の間で推移し、2.0%を下回る金利水準となっています。民間銀行などの変動金利タイプも0.7%台も出てきています。特に去年12月のフラット35(借換もできます)の最低金利は、1.81%で返済期間20年ですと1.53%となっております。
変動金利タイプの住宅ローンについては、現時点で0.7%から0.8%台の金利で将来金利上昇という金利リスクがなければ誠に結構なことと思います。過去20年、失われた10年以降も低成長・デフレ下の状態で推移してきています。(12月28日、日経平均高値更新!)
しかし、今後のことは何が起こるかわかりません。ましてや金利の予測などできることでもありません。したがって大丈夫かどうかは断言できません。日銀展望リポートなどを読んで、最後に感想を少し述べたいと思います。
①デフレ脱却について
物価は生活や経済に大きな影響を与えます。政府と日銀は早期にデフレ脱却し物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが重要な課題です。国民が求めるデフレ脱却とは景気を良くしてほしい、雇用が確保され賃金も上昇し、企業収益も増えてその結果として物価も上がっていくという経済成長を実現することです。
②物価上昇を達成する方法につて
“魔法の杖はない”のでその方法の議論を深めます。日銀は強力な金融緩和を進め、資産買い入れ基金を使って国債やリスク資産を今後1年余りで36兆円購入し、新設した貸し出し支援基金でも15兆円超、合計で50兆円超の資金供給が見込まれます。ただ魅了的な投資機会がなければ緩和で供給した資金は有効に使われません。
金融緩和とともに政府による成長力の強化が欠かせません。急速な高齢化のもとで思い切った規制緩和で国内投資の魅力を高めて、企業が挑戦しやすい環境を作ります。新設した貸出増加支援制度は金融機関が融資残高を増やせば、低利・長期・無制限に資金供給する仕組みです。政府だけでなく日銀も成長力の強化を支援します。
以上のことから、不況脱出のため日銀は物価を考慮しながら政府と連携を強化するでしょう。安部新政権がデフレを克服し、消費税増税を実現できるだけの経済成長が実現した場合、当然健全に長期金利は上昇するでしょう。
一方、政府・日銀が力を合わせ物価目標の実施をしたが、物価だけが先行して上昇して長期金利の上昇などを招き、逆に景気を悪化させてしまう。でも長期金利は上昇してしまいます。
また、公的債務残高が国内総生産(GDP)の約2倍という日本の財政状況の中で、国債は、その消化がほとんど国内であるにしても、いつ国債の消化に支障が生じ暴落、利回りの上昇があるか分かりません。
長期固定金利住宅ローンの金利は、いずれにしても今が史上最低の金利の状態と思われます。 長期金利(10年物国債利回り)の上昇は当然住宅ローン長期固定金利の上昇に連動します。
また、当初物価上昇のめどとした1%も達成できない状況下で達成するまでゼロ金利政策継続などでコールレート誘導目標0.1%以下なので短期金利の上昇は達成するまではしばらく上昇はないと思われます。
しかし、景気がよくなり物価も上がれば、それなりに短期金利も上昇するでしょう。
変動金利タイプを選んでいる方は、将来金利上昇がどの程度であれば耐えられるかをシミュレーションすべき段階に来ているのではないでしょうか?日本の経済がよくなればなるほど、今後、悪夢は5年ごとにやってくるかもしれません。125%ルールで、5年間返済額は変わりません。
ただし、最悪金利が上昇し現在の返済額の25%増しの返済額に耐えられるのか、その返済ができても借入残高がまったく減らないケースもありうることを想定しておくべきでしょう。何しろ変動金利で今最低金利であれば、今後は、現状維持か上昇しかありません。
したがって、日ごろ金利情勢にあまり関心がない方などは、金利が変わらない安心な生活設計のひとつの選択肢として、また、超低金利のときは借入れするときは、固定金利、高金利のときは変動金利の原点立ち返っていただいて、今は長期固定金利の選択ではないでしょうか。
佐藤 博明 2013年01月10日