家庭経済の耳寄り情報

2013年02月20日

超低金利0.775%~、変動金利タイプの住宅ローンを選ぶべきでない方は?!

 住宅ローン長期固定金利の代表格であるフラット35の金利(最も低い金利)は、返済期間35年で12月1.81%1月1.99%2月2.01%、返済期間20年で12月1.53%1月1.66%2月1.65%と推移しています。 一方、民間の変動金利タイプは12月から1月まで最も低いところで金利0.775%を維持しています。

 安倍政権が発足してからインフレ・成長期待感が出て円安・株高になって推移しています。住宅ローン変動金利タイプは金利の変化はあまりありませんが、住宅ローン長期固定金利が1月に12月の1.81%から1.99%に跳ね上がりました。長期金利は先々の期待感だけで反応するのです。これは短期金利より長期金利が早く反応するということです。従前から指摘されていますが、短期金利(変動金利)が上がりだしら長期固定金利の住宅ローンに変えるというのは難しいといえそうです。

今後、アベノミクスが実態の伴った経済成長と賃金の上昇を現実のものとしていけるかが注目すべきところでしょう。口先介入の効き目は長続きしないそうです。消費税アップを乗り越え、本当の景気回復がなされる状態のときに短期金利が上がらないなんて考えることができましょうか。

 住宅ローンの長期固定金利は、長期金利(10年国債利回り)に連動します。また変動金利タイプは新短期プラムレートに連動します。これは日本銀行の政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物、誘導目標0~0.1%)をベースとしています。日銀は2%の物価上昇率目標を導入し早期実現を目指します。2014年から無期限の金融緩和に踏み切るなど目標達成までは政策金利(0から0.1%)の変更はないでしょう。ですから、変動金利タイプの住宅ローン金利は目標達成まで上昇しないはずです。

 長い前置きですいません。あなたが変動金利タイプの住宅ローンを選ぶにふさわしくないかどうかについて、①について、あまり関心がないなどのことがあれば、あなたは変動金利タイプを選ぶのを避けたほうがいいのではないか。金利上昇リスクを心配しないですむフラット35などの長期固定金利を選んでいただきたく思います。

今、長期固定金利は超低金利状態で有利と思われます。何度も申し上げて申し訳ございませんが、住宅ローンを借りる場合の大原則は、低金利の場合は固定金利、高金利の場合は変動金利です。何%が中心かということもありますが今が超低金利の状態であることに異論はないと思います。フラット35の2月の金利2.01%は少し上がりましたが、それでも、やはり超低金利です。

① 変動金利タイプの住宅ローンの怖さの仕組みを聞いたことがあり、理解していますか。
(ア) 金利が上がると、5年間の返済額は一定だが返済額の内訳が変わります。返済額とは、返済元金と返済利息です。返済元金が減り返済利息がその分増えます。つまり、ローン残高の減り方が鈍る。また未払利息の発生も有るかもしれません。
(イ) 125%ルールとは、5年後のローン組み換えのときに金利が上昇しても、返済額は当初10万円であれば12.5万円に抑えるという仕組みです。しかし15万円返済しないと最終期限に残高が0にならないとしたらどうなりますか。返済期間を変えず,組み直して返済したとしても最後にローン残高が残ってしまう事態が生じることもないとはいえないのです。つまり、金利上昇のリスクは、返済額が増えるリスクとローン残高が思い通りに減らないリスクを抱えることになります。

① 意味がよく分からないということであれば、変動金利タイプの住宅ローンを理解してないということです。借りようとしている銀行、あるいは、借りた銀行でも詳しい説明がない場合があります。あなたのせいではありません。

 借入金額の大きさや返済期間はかなり重要です。今、返済できれば問題はないと思っている方は、将来、家を手放す覚悟はできていますねと確認したい気持ちです。銀行から借りられたから大丈夫とか思っていませんか。将来の生活設計が大丈夫ですかとお聞きしています。そのポイントはあなたのライフプランが決め手です。
借入金額が大きい、返済期間が長い25年30年35年を選ぶ方は、変動金利タイプより長期固定金利を選んだほうが返済額の変わらない返済計画ができより安心な生活設計が可能となります。

 実際、変動金利の0.775%がどの程度の金利上昇だったら、長期固定金利(2月2.01%)より有利なのかなどのシミュレーションはきわめて重要ですが、変動金利がどのように上がっていくのか、大変難しいのですがやはり個別の相談でシミュレーションするしかありません。もちろん,借入金額がやや小さく返済期間が短い場合は、変動金利も考慮すべき場合もあります。どう判断するか、誰に相談するか。

 確かに、会社や国を頼ることはできず、自己責任の時代になっているのは事実です。それでも、自信のない分野まで自己責任など発揮することはできません。リスクを認識し、どう回避するかを考えるしかありません。
金利リスクは専門家でも厄介な問題です。一般の方は、家を手放す覚悟を考えず、安心で確実な生活設計の実現を目指すべきだと思います。
新規の住宅ローンであれ、借換住宅ローンであれ、一人ひとりの家計の事情により個々に違います。
当組合の住宅ローングループの会員は相談者の方のライフプランを優先して考え、相談者の方の疑問や問題解決にきっと役立つと確信しております。

平成25年2月9日

佐藤 博明 2013年02月20日