家庭経済の耳寄り情報

2013年06月30日

退職後の田舎暮らしのススメ

 平均寿命が男性79.6歳、女性86.4歳といわれるなか、リタイア後の長い余生をいかに楽しく過ごすかは、中高年にとってますます大きな課題になっています。
リタイア後の生き方の選択肢のひとつとして田舎暮らしを考えている方はずいぶん多いようで、テレビでも田舎暮らしを取り上げた番組は人気のようです。
田舎暮らしといっても大きく2つに分けられます。ひとつは、農村などに定住することで地元に溶け込んで農作業などを楽しむ生活。もうひとつは、今住んでいるところと田舎を行き来する2地域居住です。
どちらを選ぶかはその人のライフスタイルによりますが、農村などに溶け込んで生活するのは、地元の人とのつきあいや行事への参加、慣習の違いなどからなかなか難しいということも聞きます。その点、別荘としての2地域居住は、都会と田舎の両方のいいところを交互に楽しむことができ、気の合う人とだけつきあえばいい、というメリットがあります。

 では、どこに家を買うかですが、住んでみたいところがいちばんなのは言うまでもありません。しかし、以下の点も考えておくべきでしょう。
別荘としてはあまり遠いと行き来がしだいに面倒になり、結局あまり利用しなくなってしまうということはよくある話です。
気候も大切な要素です。軽井沢や那須は自然がすばらしいのですが、冬は寒く雪が降るので冬期の利用は制限されます。なにより冬の厳しい寒さは中高年には応えます。
そこで、横浜からあまり遠くなく、気候が温暖で軽井沢や那須に匹敵する別荘地として伊豆高原での別荘ライフを紹介してみましょう。

 別荘というと高嶺の花と思っている方が多いようですが、伊豆高原の場合、1000万円前後(建物・土地込み、土地はふつう100坪以上)から、億単位のものまで色々出ていますので、予算に応じて気に入った家を見つけることができます。
また、今住んでいる家を貸したり売却したりすれば、かなり優雅な余生を楽しむことができるでしょう。
毎月の経費ですが、管理費は分譲地によりまちまちで、町内会費程度から五、六千円くらいまでといったところです。
温泉代は月10トンまで1万円前後が平均的ですが、10年に1度更新料として数十万円かかるところもありますので、購入時にしっかり確認しておきましょう。温泉が不要であれば、もちろんやめることもできます。
その他、購入時の諸経費として、不動産取得税(物件の築年数、床面積などにより軽減措置あり)、登記費用、不動産業者への手数料(物件価格の3%+6万円)、水道・温泉名義変更料(分譲地により違いはありますが20万~40万円位)、共益施設負担金がかかります。
ランニングコストとして毎年の固定資産税、住民税、毎月の光熱費などです。
物価は横浜と大差はないようですが、魚や野菜が新鮮で安いことには感激します。ただし、伊豆半島に入るとガソリン代はだいぶ高くなります。

 物件の探し方ですが、いきなり現地を見に行くのではなく、まずはインターネットで地元の不動産屋さんのHPを検索します。伊豆高原には別荘物件を扱う不動産屋さんが多数あり、それぞれHPを開設していますので、常時それらに目を通し、これはという物件をいくつか見つけたら現地に行って実際に見てみます。
伊豆高原の別荘物件はほとんどが中古物件で、築20年から25年が平均的なところです(40年以上のものもあります)。ですから最終的に絞り込んだ場合は、契約前にぜひ一度専門家に診断してもらうことをお勧めします(当組合は1級建築士と提携していますので、ご相談ください)。

もうひとつ重要なアドバイス。
 別荘はランクが上がれば上がるほど豪華なつくりが目立ちます。ですから一目見て気に入ってすぐに購入してしまう人がいますが、冷却期間をおいて本当にこの家でいいのかよく考えてください。
たとえば、玄関の吹き抜けはかまいませんが、リビングの場合は考え物です。夏は快適ですが、冬の暖房は大変です。
また、別荘は常住ではないので、景色を優先するあまり北向きの家が少なくありません。たまに別荘として利用するならそれでもいいでしょうが、将来そこに住むとなるとやはり南向きのほうが良いのではないでしょうか。

 最後に伊豆高原での楽しみかたですが、ガーデニングや家庭菜園、散歩やウォーキング、ゴルフに釣り、ヨット、テニス、乗馬等(伊豆高原は、城ヶ崎海岸、大室山・小室山など、海と山の両方が楽しめます。また、池や十足(伊東市)の昔懐かしい田園風景、一碧湖、松川湖の渓流沿いの遊歩道など枚挙にいとまがありません)、レストランでの食事(伊豆高原はおしゃれで美味しいお店が少なくありません)ジャズライブなども楽しみのひとつです。
さらに、毎年5月からほぼ1カ月間開催されるアートフェスティバルでは、伊豆高原在住の芸術家や工芸家の作品をその自宅やアトリエに展示し、無料で公開しています。また、伊豆高原はオープンガーデンが多く、美しく手入れされたバラや、山野草の庭の花々を見て歩くのも楽しいものです。

佐藤 房子 2013年06月30日