2013年08月30日
変額個人年金保険のトラブル事情
2002年10月から変額個人年金保険の銀行窓販が解禁となりました。当該商品の提供保険会社は当初外資系生命保険会社が主流でありましたが、日本の生命保険会社も続々と商品提供に参入しました。
変額個人年金保険とは、保険料一時払いの商品が大半を占めています。保険料は特別勘定(主に投資信託)で運用し、運用実績によって年金額や解約返戻金などが増減する個人年金保険です。一般的には年金受取開始時までは、払込保険料が死亡給付金として最低保証されます。
さて、変額個人年金は、銀行窓販当初からトラブルが発生し、国民生活センターへの相談が2002年10月から2005年3月までに264件寄せられました。(証券会社の窓口販売に係る相談件数の10倍以上)
契約当事者は、70歳以上が約半数(49%)で、年金等で生計を立てている高齢者がトラブルに巻き込まれています。以下トラブル相談事例の一部を紹介します。
「定期預金をする予定で銀行を訪れた」など元本保証型金融商品を希望している消費者、特に高齢者に対して、価格変動リスクや為替変動リスクのある変額個人年金保険を「お得」、「儲かる」、「有利」などと銀行が説明、勧誘している相談事例が見られます。「元本保証ですか」との消費者の問いに「年金原資保証です」と銀行が回答ケースもあります。年金原資保証のある個人年金保険であっても、中途解約をして解約返戻金を受け取る場合や、満期時に一括で受け取る場合には、受取額は支払い保険料を下回ることがあり、元本保証はありません。
つまり、安全性や流動性のある金融商品を求めている高齢者に対して、銀行が本人の希望や適合性を見極めず、またリスクや解約手数料等の商品性について十分な説明をせず変額個人年金保険を販売したことが多くのトラブルの要因となっております。
その後、変額個人年金保険販売を牽引してきた外資系生命保険数社が当該商品の販売を停止し、また国民生活センターの販売金融機関への働きかけ等が奏功して、トラブル相談件数も低下してきています。
銀行の窓口販売商品は、一部預金を除き元本保証のない投資信託等の商品が主流となっています。価格変動リスクや為替変動リスク等の理解ができない場合は当該商品には手を出さないことが肝要であります。
佐藤 博信 2013年08月30日