家庭経済の耳寄り情報

2013年11月10日

土地保有者に有利になった小規模宅地特例の改正

 平成25年度税制改正では相続税の基礎控除額が大幅に減額され、大幅増税と受け止められていますが、減税策として盛り込まれた小規模宅地特例の改正は土地保有者には注目すべき内容です。この特例の活用が相続対策上の大きな鍵になると思われます。

 改正ポイントは3つあります。
1、居住用宅地の80%減額特例の適用面積が240㎡から330㎡に拡大された。
2、会社や工場として使っている事業用宅地(特定事業用宅地等)の80%減額特例の適用面積が居住用宅地とは別に、独自に400㎡まで適用できることになった。
3、小規模宅地特例の適用条件の緩和(①二世帯住宅②老人ホームに入所)。

 夫々について少し詳しく説明します。
1、適用面積が90㎡広くなり、1㎡当り50万円の土地であれば相続資産評価額が現状より3600万円(90㎡×@50万円×80%)下がります。この金額は、相続人が3人いる場合の基礎控除額の減少と同等の金額です(※1)。地価の高い不動産を保有している人にとっては現行法より有利になる可能性があります。

2、現行の制度は居住用宅地と特定事業用宅地等や貸付事業用宅地等を保有している場合、合計400㎡が上限でしたが、今回の改正で居住用宅地と特定事業用宅地等は夫々80%の減額ができることになりました。最高730㎡が減額対象となります。但し貸付事業用宅地(※2)には適用されず、従来通りの調整が必要です。

3-1、小規模宅地の特例は相続人が被相続人と同居していることが条件ですが、各戸が独立した二世帯住宅(入口が別で、中も繋がっていない)は同居と見做されず、特例が適用されませんでした。今回の改正ではこれを同居として扱い、特例が適用されることになります。

3-2、被相続人が老人ホームに入居していた場合、同居していた相続人が小規模宅地の特例を受けるためには
①介護が必要なための入所である
②自宅を他人に使わせていない
③いつ戻っても良いように自宅を維持管理をしている
④老人ホームの所有権や終身利用権を取得していない
という条件がありましたが、
①介護が必要なための入所である
②自宅を貸し付け等の用途に使っていない
の2条件に改正されました。

上記1と2は平成27年1月1日以降の相続または遺贈に適用され、3は平成26年1月1日以降の相続または遺贈につき適用されます。

※1 現状基礎控除額8000万円から4800万円(基礎控除3000万円+@600万円×3人)へ3200万円減る
※2 貸付事業用宅地(不動産貸付業・駐車場業等)に関する特例の限度面積は200㎡、減額される割合は50%である

仁科 眞雄 2013年11月10日