家庭経済の耳寄り情報

2014年01月20日

アベノミクスが家計に与える影響

 2013年はアベノミクス効果により経済が大きく転換しました。景気は回復基調に入り、物価は上昇に転じています。昨年12月21日、政府は4月からの消費増税で一時的景気悪化はあるものの今年は高い成長が見込まれ実質GDP成長率は1.4%の見通しと発表しました。デフレにより名目成長率が実質成長率を下回る状況が16年続いてきましたが、今年は名目成長率が3.3%と逆転するとの見通しです。これは物価上昇が2%になることの裏付けです。
一部で景気の指標とされて不景気の時に増えると言われているもやしの消費量も昨年はリーマンショック前並に減少しています。また、円安の影響で輸入品の価格も上がり始めています。

 アベノミクスの目指す2%のインフレに備えて私達は物価が上がる前に少しでも必要なものを買っておこうという動きに出ています。
物価上昇は徐々に起こっていますが、4月からと決まっている消費税増税については3月までに高額商品や、置いておいても腐らない必需品は買っておこうと考えている人が多いと思います。

 では具体的にどのくらい上がるか試算してみましょう。
月間30万円の生活費を使っていた家庭は2%の物価上昇で
30万円×1.02%=30.6万円  となります。
さらに消費税が8%に上がると
30万円×5%=1.5万円だった消費税分が
30.6万円×8%=2.45万円  となります。
さらに消費税が10%に上がると
30.6万円×10%=3.06万円  となります。
したがって31.5万円の支払いが消費税10%時には33.66万円の支払いに増え、月間2.16万円の増加、年間では25.92万円の増加となります。7%近い出費増となります。

 給与はこれに伴って上がることが前提の景気高揚ですが、まだその効果は広がってはいないようです。
就労者は給与が上がる可能性がありますが、退職者はその恩恵に浴することはできず、逆に老齢年金受取額は減額になってしまいます。
金利が低い状況での貯金は損と言われて、わずかな手持ち資金で投資をと考えて株式や投資信託を買ってインフレに対処しようとしても、証券優遇税制廃止により株式の配当金や運用益は所得税が10%から20%に増税になります。
その対応としてNISAが脚光を浴びています。NISAは配当金や運用益に対して所得税がかからないというメリットばかりが取り上げられていますが、損した場合は損益通算できないというリスクを認識しておく必要があります。
さらに、相続税増税も2015年に控えています。

 最近の高齢者はお金持ち、と言われていますが、そうでない人もたくさんいることはあまり報道されません。リタイアした人たちには厳しいインフレ時代に突入します。
ライフプランをしっかり作り、今後の資金がいくら必要か、資産運用は周りに踊らされないで慎重に目標を決めて行うことをお勧めします。
過去のバブル時代も経験した人生経験豊富なリタイア組ですから、インフレを正しく理解して乗りきれるはずです。

池 俊夫  2014年01月20日