家庭経済の耳寄り情報

2014年02月28日

世界の人口増と日本の少子化問題

 国際連合の計算によると、世界はいま、1年に約7,800万人、人口が増えています。これは、1日約21万人、1分間に実に約150人、人口が増えている計算になります。2013年時点での世界の人口は約71億人ですが、2050年に約93億人、2100年には101億人にまで増えると予測されています。

 地球の歴史から見ると、人口は近代文明以降、急速に増加しています。1000年には3億人であった人口が、1800年10億人、1900年20億人、1960年30億人、1974年40億人、1987年50億人、1999年60億人と人口増が急加速しています。
「ローマクラブ」という世界の一流科学者や教育者の団体では、人口がこのペースで増え続ければ、100年以内に環境の悪化が大きな問題になり、人間の命を脅かしかねない、と警告しています。

 一方、先進国の中では急速な高齢化問題が深刻になっています。その中でも、最も少子高齢化が進んでいるのが日本です。現在、日本の人口は1億2,756万人(外国人含む)ですが、すでに厚生労働省の人口動態統計で2005年に死亡率が出生数を上回る自然減となり、2007年から4年連続で減少を記録しています。

 その中でも注目されるのが出生率の低下です。日本の出生率は、第1次ベビーブーマー期には4.3を超えていましたが、1950年以降、急速に低下し、2005年には過去最低の1.26まで落ち込みました。それが2006年以降はプラスに転じ、現在は1.41になっていますが、これは「人口を維持するためには全く高くない水準」(厚生労働省幹部)です。

 フランスもかつて出生率が下がりましたが、思い切った政策で、出生率が1994年1.65だったものが、2005年1.94、2008年2.02に回復しました。
その思い切った政策には
 ・不妊治療、人工生殖に保険を適用
 ・妊娠と出産はすべて保険を適用
 ・母子手当は子供1人7.6万円、1人増えるごと1.9万円/月を支給
 ・子供3人以上、双子などの世帯に家事代行を格安派遣
 ・家族手当として、子供2人世帯1.6万円/月、3人世帯3.7万円/月、4人世帯5.7万円/月、
  それ以上1人増えるごと2.1万円/月増を支給
  更に、11~16歳は4,500円増額、16~20歳は8,000円を増額
 ・乳幼児手当を妊娠4か月から3歳まで2.3万円/月を支給
 ・幼稚園から大学まで、給食やクラブ活動費を除いて、ほぼ無料
などなど、手厚い保護があります。

 安倍首相は成長戦略で子育て世代に向け、17年度までに保育所や小規模保育などを整備し40万人分の保育の受け皿を作る方針を打ち出しました。そしてさらに、政府の少子化対策の有識者会議は、新婚世帯に割安な住宅を提供する自治体や企業に税制優遇を提言し、若い世代が経済的理由で結婚を望まないのを克服する施策を進めています。

 高齢化問題と同じく、少子化問題は日本の将来に大きな影響を与えるだけに、思い切った対策の総動員が望まれるところです。

土井 健司  2014年02月28日