2014年06月30日
103万円、130万円の壁に、新たに106万円の壁が出現か!
平成28年10月から、パートタイムやアルバイトといった短時間労働者に対する社会保険(厚生年金・健康保険)の加入ルールが見直され、従来までの社会保険適用の条件が引き下げられる見通しです。これによりサラリーマンの夫を持つパート主婦の働き方に影響がでそうです。2年後の話しですが、既に実施することが大筋決定しており、知らなかったでは済まされない問題なので今から早めの対応を考えた方がよさそうです。
国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年8月成立)によると、
①週20時間以上
②月額賃金8万8000円以上(年収106万円以上)
③勤務先の従業員が501人以上の企業に、
④1年以上勤務
という基準を全て満たすパート労働者(学生は除く)は、厚生年金や健康保険の被保険者とするとのことです(現在は、週30時間以上で、年収130万円以上が加入基準)。なお、対象者は約25万人と想定されています。
適用(引き下げ)に当たっての国の考えは
・これまで被用者保険の恩恵を受けられなかった非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険による格差を是正する。
・働かない方が有利になるような「壁」を除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える としています。
ここで、「103万円の壁」と「130万円の壁」について簡単に触れてみますと
(1)103万円の壁
パートやアルバイトなどの給与収入を得た場合、年収が103万円を超えると、超えた分に所得税がかかってきます(超えなければ課税額はゼロ)。更に、夫の「配偶者控除」も利用できなくなり、夫の税金も増加します。しかし、103万円を超えても主婦の税金自体はさほど高くないのと、夫の「配偶者特別控除」が利用できますので、一気に税金アップにはならない(パート収入より税負担が増えることはめったにない)ため、今後もさほど意識する必要はないでしょう。
(2)130万円の壁
パート主婦(サラリーマンの妻)の年収が130万円以上の場合、社会保険でいう「扶養」の範囲を超えてしまうため、自分で社会保険に加入することになり健康保険料や年金保険料などを納めることになります。
このように、103万円以下と130万円未満になるように働き方を調整してしまうことをそれぞれの「壁」といっています。
そして2年後から、その「壁」のうち130万円が106万円に引き下げられ、新たに「106万円の壁」が出現するのです(但し、従業員数が501人以上の企業に勤務する場合。自営業者の妻などは対象外)。
これにより、今まで130万円未満で働いていたパート等の短時間労働者は、今までと同じ勤務状況であれば手取り額が減少してしまい、生活に影響がでることが必至です。しかしマイナスの影響だけかというとそうではありません。厚生年金への加入は将来受け取る年金額が増加するメリットがあります。
では、「106万円の壁」に向けてどのような働き方があるでしょうか?
①労働時間を減らす
②今までより、たくさん働いて年収を増やす(正社員を目指すのも手)
③会社規模の小さいところに転職する(この場合、従来の130万円の壁は残る)
さて、あなたならどれを選びますか?
いずれにせよ自分の働き方を選択するに際しては、目先の損得だけでなく中長期的なライフプランをしっかり立てることが、今やるべき最も大切な事と言えるでしょう。
長谷川 良行 2014年06月30日