家庭経済の耳寄り情報

2014年07月20日

米の新発10年国債利回りの動向

 あらゆる証券(株式・債券・投資信託(株式・債券・不動産・コモデティ)他)商品の価格は米国の新発10年国債利回りとの比較で変動していると言っても過言ではない位に、世界中の証券投資家・投機家が、固唾をのんで注視して追跡しています。
米国の新発10年国債利回りは今年5月28日に付けた2.42%と6月10日に付けた2.66%の間の往来(ボックス)相場の中で小動きを繰り返していて、直近7月9日は2.55%に若干低下しました。
年初は直に3%の大台に乗せる、との大方の予想が外れた理由探しは錯綜していますが、以下のように整理してみました。

a. 循環(強気・楽観)説
財政赤字減少による国債発行の減少・個人消費低調・賃金上昇の鈍さ・通貨安競争(中の元安誘導・ECBの金融緩和他)・独国債金利低下から金利が高い米国債買い・地政リスク(ウクライナ・イラク)等が剥落すれば、回復する。米国債先物の空売りの踏上げによる買戻し(損切り)・損したヘッジファンドが米国債から離脱した結果の売り手不在・相場の薄さ(需給)は、終了しつつある。本説は、インフレは近い、金利低下は一過性で金利は上昇する筈(2.5%割れは行き過ぎ)であり、2.42%から稍上昇した現状は在るべき金利に戻る前触れと見ます。

b. 構造(弱気・悲観)説
人口オーナス・設備投資の減少による潜在成長率低下2.0%の罠で金利は更に低下する。2.42%から稍上昇した現状は綾戻しに過ぎないと見る。ピクテのニューニュートラル(2%へ低下)はボラティリティ低下=低リスク・低リターンが持続する(債券の出番?)、とする。

c. 私見…複合・混合説
(あれもこれも)、徐々に緩慢に上昇する。循環説(4割?)の部分は今後、金利上昇要因が増加する。然し必要説の部分は長く残存して金利上昇は極めて緩慢、(ニューニュートラルは経過観察する)

                      長期金利
           循環説 表層雪  解消した要因は↗ 
              綱引き
           必要説 根雪    →
           構造説 頑固な根雪 ↘

松崎 良  2014年07月20日