2014年08月20日
金融機関への相続に関する届出書
相続が発生すると相続人からの連絡により被相続人の口座の取引が停止されるのですが、遺産分割協議の完了や遺言書等により預金等を引き出す場合に必要な、金融機関へ提出する“相続に関する届出書”をご存知でしょうか。
この届出書の名称は“相続届”とか“相続関係届出書”と言うようですが、金融機関によって若干の違いがあるようです。また、この届出書は相続でも発生しない限り通常は目にすることはないものです。しかし、将来の相続に備えて、今のうちにこの届出書の概要を知っておくことは大切な事です。
筆者の場合、親の相続後に初めてこの届出書の存在を知り、一定の手続きを完了するのに大変に苦労したため、読者の皆様にはそのようなことがないようにお勧めするものです。入手方法はそれ程難しくなく、取引のある金融機関に電話するか窓口で照会していだだくことによります。但し、金融機関によっては相続が発生しない段階では入手できないこともありますので、ご注意をお願いいたします。
ここではこの“相続に関する届出書”の一般的な概要についてご説明いたします。
第一に、遺言書(公正証書遺言でない場合は家庭裁判所の検認が済んでいることが必要)の有り無しによって扱いが分かれます。
遺言書が有ればその内容の通りに手続きが進みますが(但し、遺言執行者の指定の有り無しで変わる)、遺言書が無ければ遺産分割協議書が有るか無いか(協議が成立したかしないか)によって手続きが変わってきます。
遺産分割協議書が有る場合はその内容の通りに手続きが進みますが、遺産分割協議書が無い場合は家庭裁判所の調停や審判が有るか無いかによって手続きが変わってきます。
第二として、進むべき手続きが認識できた後にはその手続きに必要な書類を揃えることになります。例えば、相続届兼委任状、被相続人の通帳・証書、被相続人の戸籍謄本・除籍謄本、相続人の印鑑証明書、遺産分割協議書、遺言書等です。
上記のようにどの場合でも適正に手続きをすることができれば預金等を引き出すことが可能のようですが、全てに共通するのは相続人全員の署名と実印、被相続人の預金通帳や証書等が必要ということです。
従って、相続人の間で何らかの紛糾が有る場合には署名と実印を揃えることが出来ないこともある為、その場合には預金等を引き出すことが出来なくなります。
以上が概要ですが、金融機関によって内容次第では個別に対応する場合もあるようですので、相続発生時には十分にご確認されるようお勧めいたします。その際、ファイナンシャルプランナー等の専門家に同席してもらうのも手続きを円滑に進めるためには良いでしょう。
渋谷 弘 2014年08月20日