2014年09月20日
消費増税を背景に年金改正第2弾!
1年後の来年(平成27年)10月から消費税が10%にアップされる予定ですが、その時期に合わせて比較的大きな年金制度の改正2件が確定しており、関係される方も多いと思われますので、今回取り上げました。
1、約42万人の無年金者救済へ
年金受給資格期間25年を10年に短縮します。対象の年金は次の通りです。
老齢基礎年金
老齢厚生年金
退職共済年金
寡婦年金
この改正により、65歳以上の人で今まで25年未満で無年金者であった方の約40%に当る約42万人の方が年金受給者になります。
ただし、遺族給付については要注意です。
遺族基礎年金を受給することのできる要件の一つに次の事項があります。
①老齢基礎年金を受給中の人が死亡した場合
②老齢基礎年金を受給できるだけの加入年数がある人が老齢基礎年金を受給する前に死亡した場合
また、遺族厚生年金を受給することのできる要件の一つに同じような次の事項があります。
③老齢厚生年金を受給中の人が死亡した場合
④老齢厚生年金を受給できるだけの加入年数がある人が老齢厚生年金を受給する前に死亡した場合
①から④のいずれの場合も今回の改正に係らず加入期間は25年必要です。(10年では支給されません)
2、官民の年金制度統一へ
厚生年金保険と共済年金の制度が一元化されます。
会社員が加入している厚生年金保険と、公務員が加入している共済年金との一元化は、長年の懸案事項でしたが、ようやく実現の運びになります。双方は、制度上若干異なる部分がありますが、基本的には厚生年金保険の制度に統一されることになっています。ただ、大きな相違点、共済年金の職域加算と女子の受給開始年齢については、別途経過的措置等で対応することになっています。
しかしながら、上記2件は、消費増税が前提になっています。財源の問題です。
目下のところ首相始め関係閣僚は、増税できる環境づくり、地ならしを行っている最中です。増税を予定通り実施するか否かの判断は年末までに行うとしており注目を集めています。
現行の年金制度は、夫が働き手、妻は専業主婦を基準にしたものになっておりますが、1997年に夫婦共働き世帯が夫だけ勤める世帯を上回り、以降差が拡大し、2013年には夫婦共働き世帯が1,065万、夫だけ勤める世帯が745万で1.4倍に達している変化に対応できていないのが実情です。
本年4月から父子家庭にも遺族給付が行わるなど部分的な改善はされていますが、まだ多くの課題を抱えています。
「共働き世帯数の推移」 右上図参照 ↗
(データの出所:総務省統計局:労働力調査
厚労省:H25年版労働経済の分析)
本年6月に首相の諮問機関として設置された社会保障制度改革推進会議で、年金、医療、介護などの10年後の社会保障制度のあり方について議論され、改革推進を首相に提言することになっています。年金制度は、社会保障制度の中核を担うものであり、各世代に不公平感のない抜本的かつ持続可能な制度改革・制度設計が早期に実現されることを切望してやみません。
三好 勝 2014年09月20日