2015年01月20日
2015年の暮らしはどう変わるか!税制改正大綱から見る
2015年以降のくらし・生活はどのように変わるのか、昨年12月30日に決定した税制大綱に基づいて、早速皆さんにお届けしたいと思います。
なお、同大綱には法人税率の引き下げ他がありますが、本資料では個人のくらし、生活に絞っています。
また、正式に決定となるのは、1月からの通常国会での予算の成立後であることにはご注意ください。
Ⅰ.資産課税関連
1.住宅ローン減税の延長
「住宅ローン減税」とは、一定の条件を満たした場合に、年末の住宅ローン残高の1%を所得税から差し引く(税額控除する)というもので、ローン利用者のほとんどが利用している制度です。この制度は2017年で期限切れの予定でしたが、消費税の税率10%への引き上げが2017年4月からに延長されることを踏まえ、期限を1年半延長することとなりました。
2.贈与税非課税措置の拡充
住宅向け贈与非課税枠は現状最大1,000万円、期限2014年末(昨年末で期限切れ)であったものを以下の表のように拡充します。
「住宅取得資金等贈与税の非課税」制度とは、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により、自己の居住する自宅等を新築・取得等の対価に充てるための金銭を取得した場合、贈与税が非課税になるという制度です。
■非課税枠の期間と非課税金額(省エネ住宅の場合)
期間 非課税枠(万円)
2015年 1,500
2016年1月から9月まで 1,200
2016年10月から17年9月 3,000
2017年10月から18年9月 1,500
2018年10月から19年6月 1,200
上記の金額が不規則なのは、2016年10月からの金額は2017年4月(平成29年4月)から消費税が10%になることを前提としているためです。
3.結婚・子育て資金のための贈与の非課税枠を最大1,000万円、期限2018年度末までとし、2015年4月から新設
(20才以上50才未満までの個人が上記資金を直系尊属から贈与を受けた場合に贈与税が非課税になります。子育て資金には出産関連費用を含みます。なお、結婚資金は最大300万円以内が限度です。)
4.教育資金のための贈与の非課税枠最大1,500万円の期限を2015年末から2018年末へ延長
「教育資金の非課税制度」とは、2015年末(平成27年末)までに祖父母などの直系尊属から30歳未満の個人に対し教育資金に充てるための贈与を受けた場合、その贈与資金が非課税となる制度(信託銀行などと一定の契約必要)
■贈与非課税の対象と対象外(○は対象、×は対象外)
教育資金贈与 1 人当たり最大1500万円まで
○ 学校の入学金や授業料
○ 給食費、修学旅行費、制服代など
○ 音楽、スポーツ、買いがなどの習い事の月謝
新たに○ 留学渡航費、通学定期券代
× 手品、占い教室などの遊戯等の月謝
結婚・出産・子育て資金贈与 15年度から 1人当たり最大1000万円まで
○ 結婚式の費用、新居の家賃(結婚関係最大300万円まで)
○ 出産費用・不妊治療費用
○ 子どもの治療費、保育費用など
× 新居の家具や家電製品、ベビー用品
5.その他には、一定の空き家の土地の固定資産税の課税強化などがあります。
Ⅱ.個人所得課税関係
1.NISA(個人小額投資非課税制度)の拡充
まず、NISAとは
①上場株式等の配当、譲渡益につき
②1年間に100万円、最大5年間で500万円を上限として
③非課税とするもので、日本国内に居住する満20才以上の個人が対象となる制度です。それが、
ア、2016年(平成28年)から非課税枠を1人100万円から120万円に拡充
イ、2016年から子ども版(ジュニア)NISAの創設(満20才以上とされている対象年齢の引き下げ)
非課税枠は1人年間80万円で親権者が管理することになります。なお実施は準備の都合等で残念ながら来年からとなります。
2つのNISA比較
子ども版NISA NISA(既存)
変更項目 新設 投資上限を100万円から20万円増額
対象年齢 0~ 19歳 20歳から
年間の投資上限 80万円 120万円
(5年で最大400万円まで) (最大600万円まで)
非課税の投資商品 上場株式・公募投資信託など 同左
投資できる期間 2023年まで 同左
(将来、恒久化の可能性もあり)
非課税の期間 投資した年から最長 5年 同左
運用口座の管理 親権者が代理 自分
(18歳まで払出し制限)
なお、今年度からは、従来口座開設は1人1金融機関とされていたものが、1年ごとに自由に口座開設できるようになり利便性が格段に高まります。
2.その他には、ふるさと納税の寄付の上限を現行の2倍に引き上げる、があります。
Ⅲ.消費税関連
1.自動車関連税制
① 自動車取得税と重量税のエコカー減税は対象車を減らしたり減税幅を小さくする。
② 買った翌年から毎年払う軽自動車税は平成14年度7,200円から10,800円に引き上げ
③ 軽自動車向けエコカー減税を2015年度内に新規取得した車限定で導入,など
2.税率引き上げ、軽減税率導入の方針
平成29年4月から消費税を10%に引き上げ、その特にいわゆる「景気判断条項」を付さない。
また、いわゆる食品などの軽減税率については、消費税10%時に導入ーすることとし早急に具体的検討を進めることを明記しています。
以上、結婚・出産・育児やなどの非課税制度創設や子ども版NISAの新設などの項目は私たちのくらし・生活に大きく変化を与える可能性があります。
いづれにしても、税制は正しく理解したうえで節税など積極的に対応、活用したいものです。
今泉 明信 2015年01月20日