家庭経済の耳寄り情報

2015年06月10日

様々な贈与税の特例

 平成27年度から相続税の基礎控除額が大幅に縮小されましたが、父母・祖父母から子どもや孫への贈与税非課税額が増額されたり新制度が施行される等、資産を持たない世代への資産移行がしやすくなりました。今回は①住宅取得資金贈与②教育資金の一括贈与③結婚・子育て資金贈与について要点を説明します。

(1)住宅取得資金贈与の贈与税非課税特例

 平成28年10月から平成29年9月までの1年間は下表のように最大で3,000万円が非課税となります。20歳以上の者が自ら住むための住宅を購入又は増改築を目的とした資金を父母または祖父母から贈与を受ける場合です。平成27年の最大1,500万円の倍増ですが、これは平成29年4月からの消費増税対策を織り込んだものと思われます。

期間         省エネ・耐震等住宅   左記以外の住宅
H27年         1,500万円       1,000万円
H28年1月~9月     1,200万円        700万円
H28年10月~H29年9   3,000万円       2,500万円
H29年10月~H30年9月  1,500万円       1,000万円
H30年10月~H31年6月  1,200万円        700万円

(2)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

 父母又は祖父母が信託銀行等の金融機関に子または孫の名義でまとめて預けた場合に子又は孫1人当たり最大1,500万円まで非課税措置を受けられます。塾等の学校以外に利用できる金額は500万円です。27年度税制改正で通学定期代や海外留学渡航費も対象になり、平成31年3月31日まで適用期限が延期されました。領収証を金融機関に届け、子又は孫が30歳になった時点で精算され、残った金額は贈与税が課されます。

(3)結婚・子育て資金贈与の贈与税非課税措置

 20歳以上50歳未満の子又は孫が対象、父母又は祖父母が信託銀行等の金融機関にまとめて預けた場合に子又は孫1人当たり最大1,000万円まで非課税措置を受けられます。結婚資金として利用できる金額は300万円です。不妊治療費・出産費用・産後ケア費用等の出産関係資金や子の医療費・保育費等の育児関係資金が対象です。領収証等を金融機関に提出し、確認・記録をしてもらい50歳になった時点で精算をします。万一、贈与者が死亡した場合は、その時点での残高が相続財産に加算されます。平成27年4月から平成31年3月31日までの時限立法です。

 上記以外にも従来からある贈与税の配偶者控除の特例や贈与税の暦年課税制度がありますが、これらを活用した計画的な相続税対策を実施することが大切です。

仁科 眞雄  2015年06月10日