2016年05月30日
無分配型投資信託とNISA講座
投資信託は、分配金の取り扱いにより「無分配型、再投資型投資信託」と「分配型投資信託」の2つに分類されます。
無分配型、再投資型投資信託とは、分配金を出さず投資信託の中に運用益を蓄積していくタイプの投資信託です。これに対して分配型投資信託は、決算期毎に分配金を支払うタイプの投資信託です。
長期投資による資産形成のためには、「無分配型、再投資型投資信託」の方が優れています。その理由は「複利効果」つまり利息が利息を生むということです。「無分配型、再投資型投資信託」は投資信託が生み出した収益を投資信託内に残すことになります。
例えば、年4.0%で運用したとします。100万円の「無分配型、再投資型投資信託」を買った場合
1年目 100万円+4万円
2年目 104万円+4.16万円
3年目 108.16万円+4.3264万円
上記のように年々収益部分が大きくなります。
一方、分配型投資信託の場合
1年目 100万円+4万円
2年目 100万円+4万円
3年目 100万円+4万円
というように、毎年得られる収益は変わりません。
上記比較の通り運用の効率性が「無分配型、再投資型投資信託」の長所です。
また、上記で同じタイプに分類された、無分配型と再投資型を比較した場合、無分配型には「課税の繰り延べ」という長所があります。つまり分配金がないので課税されません。それに対して、再投資型は一旦分配金が支払われるので、分配時点で課税されます。
以上の考察から、「無分配型投資信託」が最も優れていますが、無分配型投資信託は運用期間の短い単位型投資信託(購入できるのは設定前だけで、一度運用を開始すると一切追加で購入できない)の一部にみられ、投資信託の本数は多くありません。追加型投資信託(いつでも購入できる)が大勢を占めています。
2014年1月からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)を利用して投資信託運用を行う場合、1年に120万円という制限額があります。再投資型の場合、この再投資は新規投資とみなされます。そのため、すでに120万円枠を使った場合、再投資分はNISA口座ではなく通常の課税口座で管理する必要があります。一方無分配型の場合、増加した基準価額は単なる時価の増加であり、増加分はNISA口座で運用され非課税です。NISA口座誕生を契機として無分配型投資信託がさらに増えることが期待されます。
佐藤 博信 2016年05月30日