家庭経済の耳寄り情報

2016年06月30日

相続時の土地評価額の簡易計算のポイント (小規模宅地等の特例を含めて)

 今回は相続財産と相続税の計算の中で複雑な土地評価額について説明いたします。
土地の計算方法が分かれば、残りの相続財産の計算に関しては簡単になります。

 平成26年の地価公示価格は8年ぶりに上昇しました。世間では、地価が下げ止まったと受け止めているようです。国税庁によりますと、相続財産の内土地の占める金額の割合は40%以上になっています。

        平成25年分  平成26年分
土地       41.5%     41.5%
建物        5.2%      5.4%
有価証券     16.5%     15.3%
現金・預貯金等  26.0%     26.6%
その他      10.8%     11.2%

出典: 国税庁ホームページ:平成26年分の相続税の申告状況について
(付表5)「相続財産の金額の構成比の推移」より抜粋

 相続税を計算する場合、建物(家屋)は固定資産税評価額で評価されます。また、有価証券、現金・預貯金等は、通帳およびインターネットで価格を算出できます。上述の通り、相続財産の占める割合が一番多いのが土地ですので、この土地の評価額を知ることが大事になります。

 土地(宅地)の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。今回は都市部で通常使用されている路線価方式について説明します。路線価とは道路(路線)に面する標準的な土地の1㎡当たりの価格の事です。土地(宅地)の価格はその土地(宅地)の形状等に応じた奥行価格補正率、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率などの調整率で補正した後、その土地(宅地)の面積を掛けて計算します。
調整率の計算は複雑なので専門家にお任せした方がよいです。すなわち、路線価を基にして計算するのは難しいです。

 土地(宅地)には次の以下の4種類の価格があります。
1.公示価格 毎年1月1日時点の価格を国土交通省が発表します
2.基準地価格 毎年7月1日時点の価格を都道府県が発表します
3.固定資産税評価額 3年ごとに、前年の1月1日時点の評価額を都・市町村が発表します。(公示価格の70%)
4.相続税評価額(路線価)  毎年1月1日時点の評価額を国税庁が発表します。(公示価格の80%)

 土地(宅地)の大よその相続税評価額を知る為には、固定資産税評価額は公示価格の70%で表示され、相続税評価額(路線価)は公示価格の80%で表示されている点に注目し、下記の代用計算で計算できることが分かります。すなわち、毎年4月に送付されてくる課税明細書を利用して、相続税評価額の概算を算出できます。この代用計算はあくまでも参考値なので、大よその相続税評価額を知る為にご使用下さい。

相続税評価額の概算計算式
一戸建て   課税明細書評価額×8/7
マンション  マンション敷地全体の評価額×(専有部分の床面積÷マンション全体の床面積)×8/7

 土地(宅地)の評価額が計算できましたら、次に大切なことは、小規模宅地等についての特例を利用して、土地(宅地)の評価額を最高80%までの控除を得ることが出来ることです。よって、相続税を計算する為には、小規模宅地の課税価格を算出する必要があります。 

 一緒に暮らしていた配偶者は、その土地(宅地)が330㎡(平成27年以降)までの場合、一般的には、80%が減額されます。この適用は、敷地の大きさ、相続する持分などにより減額されます。この様にメリットの多い特例ですが、その適用条件がきめ細かく定義されていますので、国税庁のホームページ「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」
をご確認されることを推奨いたします。

尚、上記の計算方法は、あくまでも概算ですので実際の相続税申告には使用できません。


 計算方法がお分かりにならない場合はお気軽に神奈川県ファイナンシャルプランナーズ協同組合(KFP)にご連絡ください。有料相談、無料セミナーなどが用意されていますのでご利用ください。

また、ご自分で相続財産と相続税を計算してみたい方は、「相続税概算自動計算機能付エンディングノート【私の想い】VOL.2」よりご購入ください。【私の想い】を利用することにより、相続財産と相続税が簡単に計算できます。

岩崎 康之 2016年06月30日